【10月4日 AFP】ドイツのクリスチャン・ウルフ(Christian Wulff)大統領は3日、北部ブレーメン(Bremen)で行われた東西ドイツ統一20周年の記念式典で演説し、イスラム系住民のドイツ社会への融合を目指す努力を訴えた。7月の就任以来、ウルフ大統領が主要演説を行うのは初めて。

 ウルフ大統領は演説で、統一ドイツが現在、抱える約400万人のイスラム人口問題にふれ、「統一から20年を経た今、われわれは目覚しく変遷する世界のなかで、ドイツの新しい連帯の形を見出すという大きな課題に直面している」と呼びかけた。

 また、ドイツは歴史的にキリスト教とユダヤ教の融合社会であるとしたうえで、現在はイスラム教もドイツの一部だとの認識を示した。

 さらに、ウルフ大統領は、ドイツ国民にイスラム系の人びとに対する寛容さを求めると同時に、イスラム系移民に対してもドイツ社会に真に溶け込む努力が必要だと語った。

 約8200万の全人口のうち400万のイスラム系人口を抱えるドイツでは、ここ数か月、イスラム系住民のドイツ社会への融合問題がメディアをにぎわせている。

 前月にはドイツ連邦銀行(中央銀行、Bundesbank)の理事だったティロ・ザラツィン(Thilo Sarrazin)氏が、「教育レベルも低く勤労意欲に欠けるイスラム系移民のせいで、ドイツは劣化している」と発言し、理事職を解任されている。(c)AFP/Johannes Eisele

【関連記事】
◆人種差別発言でドイツ中銀理事解任へ、タブーに踏み込んだとの評価も
◆東西統一20周年祝うドイツ