【9月16日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)の16日からの公式訪英を前に、同行予定だった側近のドイツ人枢機卿が「英国は第三世界」などと発言していたことが明らかになり、この枢機卿は急きょ同行を取りやめた。

 ワルター・カスパー(Walter Kasper)枢機卿は、13日発売されたドイツ週刊誌フォークス(Focus)のインタビューで、なぜ多くの英国人が法王の訪英に反対を表明しているのかとの問いに答えて、「現代のイングランドは世俗化した多元的な国家だ。ヒースロー空港(Heathrow Airport)に降り立つと、ときどき第三世界にやってきたのかと思ってしまう」と述べた。

 バチカン法王庁のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長はこの発言について、「英国に対する否定的な意図や嫌悪によるものではない」「ヒースロー空港に到着した際に実感する、祖国や生まれた環境が非常に多様な人びとが共に暮らす国へやってきたのだという事実について述べただけ」などと釈明。

 その上で、この発言とは関係ないが、カスパー枢機卿は「健康上の理由」により訪英への同行を中止したと発表した。

 ローマ法王の訪英は、1534年に英国王ヘンリー8世(Henry VIII)がローマ・カトリック教会と決別して以来、2度目。(c)AFP