【9月9日 AFP】欧州の編集者やメディア企業などが参加しメディアの役割や影響を考えるサンスーシ学会(M100 Sanssouci Colloquium)は8日、ドイツのポツダム(Potsdam)で開いた年次総会で、イスラム教の預言者ムハンマド(Mohammed)を題材にした風刺画を描いてイスラム過激派から殺害の脅迫を受けたデンマークの漫画家、クルト・ヴェスタゴー(Kurt Westergaard)氏に今年のメディア賞を授与した。

 ヴェスタゴー氏は2005年、導火線のついたターバンを頭に巻いたムハンマドの風刺画をデンマークの新聞に発表。イスラム諸国で強い反発を招き、殺害の脅迫も受けている。

 式典に出席したアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は、「この場におけるテーマは思想と報道の自由だ。これは、そうした価値観を有する西側社会で、漫画家がムハンマドの風刺画を描くことが許されるかどうかの問題だ。風刺画が悪趣味かどうか、必要性や有益性は関係ない」「欧州は、漫画家がこうしたものを描くことが許されている場所だ」と述べた。ただ、米国で問題になっているコーランの焼却については「許し難い」と断じた。

 一方のヴェスタゴー氏は、ムハンマドを描いた風刺画は仮に自分が殺されても生き続けると語った。

 同氏は記者団に対し、「わたしを殺そうとしている者たちはいつか成功するかもしれないが、あの風刺画を殺すことは彼らにもできない」「(風刺画を描いたことは)後悔していない。(イスラム教と西洋文化の)2つの文化は遅かれ早かれ衝突することが避けられず、風刺画は(その動きを早める)触媒となったにすぎない」などと述べた。同氏はイスラム教を「反動的宗教」と呼んでいる。(c)AFP/Simon Sturdee

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