【9月5日 AFP】カナダ極北の北極圏で、約4000キロ離れた南の土地からモスクを丸ごと運んでくる計画が実行されている。

 ノースウェスト準州(Northwest Territories)のイヌヴィック(Inuvik)は人口4000人の小さな町。ここ数年でイスラム教徒の人数が80人を超え、長さ7メートル、幅3メートルのトレーラー式礼拝所に入れなくなってしまった。

 プロジェクト・リーダーのアフマド・アルカラフ(Ahmad Alkhalaf)さんによると、イヌヴィックでは人件費も建設資材費も南の都市より大幅に高いため、これまで信者たちは新しいモスクを建てることが出来なかった。

 しかし、約140平方メートルの建物を、現地でモスクを新たに建設する費用の半額で提供できるというプレハブ業者がカナダ中部マニトバ(Manitoba)州にあることが分かり、同州のイスラム教系チャリティー団体が費用の大部分を負担してくれることも決まったという。
 
 そして8月末、トラックの荷台に載せられた小さな黄色いモスクの旅が始まった。まず、カナダの広大な大草原を越え森を抜け、ノースウェスト準州南部のグレートスレーブ湖(Great Slave Lake)を目指す。そこで荷船に積みかえられ、マッケンジー川(McKenzie River)を北上し、北極線から200キロ北にあるイヌヴィックに届けられるのだ。

 アルカラフさんによると、到着予定日は9月24日。町の居住地区内の信徒らが購入した私有地に設置する。11月初旬には礼拝を行う準備が出来ているはずだという。信者らのほとんどは、スーダンやレバノン、エジプトなどから職を求めて極北までやってきたスンニ派のイスラム教徒。モスクは、コミュニティーセンターとしても活用される。(c)AFP

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