【8月17日 AFP】｢イエス・キリストこそナンバーワンだ！｣――米歌手レディー・ガガ（Lady Gaga）の最新ナンバーに合わせて、DJ神父ことドン・ロベルト・フィッシャー（Don Roberto Fiscer）神父（33）の声がイタリアのリゾートビーチに響き渡る。

　フィッシャー神父がイエス・キリストの教えを広めるユニークな方法は、ダンスとDJだ。レモン色のスポーティーなTシャツの胸には、聖母マリアと幼子イエスのイラスト。｢天国からダイレクトに届いたメッセージがあるよ。『イエスなしでは未来はない、イエスなしでは愛も喜びもない！』｣。7歳から77歳という幅広い年齢層の聴衆はいっせいに、神への感謝の言葉を叫ぶ。

■「音楽を通して心にイエスが届く」、DJ神父は元エンターテイナー

　この夏、毎週水曜の夕暮れ時にイタリア北西部のアレンツァーノ（Arenzano）のリゾート地、サンピエトロ（San Pietro）の浜辺で繰り広げられている風景だ。「往年のディスコ・クラシックを、賛美歌とリミックスしたりしているんだ。若い人に一番アピールするのは音楽だ。音楽を通して彼らの心にイエス・キリストが届く」。23歳で聖職の道に入るまでは、クルーズ船でショーをするエンターテイナーだった。

　95年のヒット曲「ラ・マカレナ（La Macarena）」に合わせてラインダンスをできるよう、近くのホリデーキャンプで働く友人たちが手伝って盛り上がっている人たちを並ばせるが、クラブというよりは体育の授業のような趣だ。アルコールは近くのバーで買えるが、炭酸ジュースやアイスクリームを手にしている人のほうが多い。

「聖母マリアにどれだけ愛されてるか分かったら、泣けてしょうがないはずだ」、DJ神父はヘッドフォンをかけ直しながら声を張り上げる。週に一度の型破りな伝道の場は、ジェノバ（Genova）大司教であり、イタリア司教協議会の長であるアンジェロ・バニャスコ（Angelo Bagnasco）枢機卿のお墨付きだ。「枢機卿はわたしを信じてくれているのです」とフィッシャー神父は言う。

■懺悔はビーチパラソルの下で

　ダンスと音楽が辺りに満ちあふれようとも、信仰が遠ざかることは決してない。「ほら、懺悔（ざんげ）を求める者のために、ヤン神父さまがあのビーチパラソルの下にいらっしゃるのです」。ポーランド人のヤン神父は、彼の腰かけるビーチチェアに近づいてくる者たちに罪のゆるしを与えている。

　ダンスフロアに戻れば、フィッシャー神父のDJでこれからが最高潮だ。「イエスとともにいれば、いつも休暇みたいな幸せな気分になれるよ」(c)AFP/Gildas Le Roux