【3月11日 AFP】中東通信(MENA)によると、エジプト・カイロ(Cairo)にあるイスラム教スンニ派最高権威機関アズハル(Al-Azhar)の総長、ムハンマド・タンタウィ(Mohammed Tantawi)師が10日、心臓発作のため訪問先のサウジアラビアの首都リヤド(Riyadh)で死去した。81歳。

 タンタウィ師は1996年にアズハル総長に就任。柔らかい物腰と裏腹に、その発言は国内外のイスラム社会で物議を醸してきた。

 前年10月には、イスラム教徒の女性が顔全体を隠すニカブについて、アズハルのすべての付属学校と寮での着用を禁止する宗教令を出し、激しい論争が巻き起こった。

 2003年には、自爆攻撃犯を「イスラムの敵」と称し、「過激主義はイスラムの敵である」と発言した。

 01年の9.11米同時多発テロ後には、「子どもを含む数千人もの無実の人々を殺害することは、勇気でも何でもない」と嫌悪感をあらわにし、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が呼びかける「西洋に対するジハード(聖戦)」を強く非難した。

 08年には、宗教会議の席でイスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領と握手したことが問題視された。タンタウィ師は当時、「(大統領本人であることを)知らなかった」と話している。(c)AFP/Jailan Zayan