【1月18日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、82)は17日、ローマ(Rome)市内のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)を訪問した。ナチス(Nazis)ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)時のローマ・カトリック教会の対応などをめぐるユダヤ人社会との対立和解を狙った歴史的訪問だったが、ユダヤ人からの反応は冷ややかだった。

 ドイツ生まれの法王は、第2次世界大戦(World War II)中やその以前から、ナチスによって数百万のユダヤ人が殺害された事実について「不幸なことに、多くの人びとが無関心なままだ」と述べ、「法王庁は影ながら(ユダヤ人を)支援してきた」と主張した。通常なら喝采(かっさい)を浴びる演説は、しかしシナゴーグでは沈黙をもって迎えられた。

 法王はわずか1か月前、第2次世界大戦中ホロコーストに対し沈黙を守ったとして批判されているピウス12世(Pius XII、在位:1939-58)を「尊者」とする手続きを承認し、ユダヤ人の怒りをかったばかりだ。

 これに対してローマ・カトリック教会は、ピウス12世は宗教施設にユダヤ人をかくまうなどして、多くのユダヤ人を救ったと主張。ホロコーストに対する沈黙は、ユダヤ人をめぐる状況の悪化を防ぎたい願いによるものだと説明している。

 しかし、ローマ・ユダヤ人社会の代表者は、法王庁が保管するピウス12世に関する資料を閲覧できるよう、直接法王に求めた。

 法王庁は前年、研究者らを対象としたピウス12世関連資料の公開までには5~6年を要すると発表している。(c)AFP/Gina Doggett