【8月8日 AFP】地球温暖化の影響が意外なところにも出ているようだ。スイスアルプス南部の2地区に暮らすローマカトリック教徒たちは、昔から洪水をもたらす氷河の後退を祈ってきたが、その祈りの内容を「気候変動防止」に切り替えようとしている。

 フィエッシュ(Fiesch)、フィエッシェンタル(Fieschental)両地区のカトリック信者たちは17世紀末から、アルプス最長のアレッチュ(Aletsch)氷河を洪水の原因とみなし、この氷河が溶けるよう祈りを捧げてきた。この伝統は後に、毎年7月31日に地元のチャペルで行われる恒例行事に発展した。

 皮肉なことだが彼らの願いは聞き入れられたのかもしれない。アレッチュ氷河は過去数十年で数キロ短くなり、現在では23キロまで縮まった。科学者らはアルプスにおける地球温暖化を示す最も顕著な例の1つだとしている。いまではむしろ干ばつが懸念されている。

 Pascal Venetz教区司祭は6日、スイス通信(SDA)に対し、「多くの氷河が溶けた」と語った。

 同司祭は教区民を代表してローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)に祈とう内容の変更について承認を得たい意向で、報道によると教区の信者の1人がローマ(Rome)で調整中だという。(c)AFP