【6月8日 AFP】パリ(Paris)市は7日、欧州歴訪中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世に名誉市民の称号を授与した。ダライ・ラマは、ベルトラン・ドラノエ(Bertrand Delanoe)パリ市長から名誉市民の称号を授与され、「人間の価値、平和、非暴力を擁護する人間として、この名誉を受けとる」と語った。

 今回のパリ訪問によって、フランスと中国の外交問題が再燃する可能性もある。前年12月のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領とダライ・ラマとの会談以降、中仏関係はこじれており、フランス政府は現在、修復に努めている。

 中国政府はダライ・ラマをチベット分離主義者として非難。ダライ・ラマとのいかなる公式会談も、内政干渉だとする立場をとっている。また、訪問先の欧州の各国政府に対し、外交的報復も警告していた。フランス政府は、名誉市民号の授与について、国家の問題ではなく、純粋に地方自治体の問題だとの見解を示しているが、中国政府の反発は必至だ。

 ダライ・ラマは今回の欧州歴訪について、政治的なものではないとの立場を示しているものの、チベット人以外の中国の反体制派と会談を行ったほか、中国に対しての批判を強めている。(c)AFP/Ingrid Bazinet