【5月15日 AFP】中東を歴訪中のローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)は聖地巡礼の最終日となる15日、イスラエル・テルアビブ(Tel Aviv)近郊のベングリオン(Ben Gurion)国際空港で行われた式典で、2国家共存による中東和平を訴えた。また、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を「残虐な民族抹殺」と非難した。

 中東和平について、法王は「これ以上の流血や戦いやテロを止めれば、戦争はなくなる」と述べた後、「全世界は、イスラエル国家が国際的に認知された国境線の中で、平和と安全を享受し存在する権利があることを認めよう。同様に、パレスチナ人民にも、主権を有する母国を持ち、尊厳を持って暮らし、自由に移動できる権利があることを認めよう」と2国家共存を呼び掛けた。

 また、「神を恐れず反ユダヤ主義と憎悪を広めた独裁政権のもとで、数多くのユダヤ人が無残に抹殺されていったことを、世界は決して忘れてはならない」と、厳しい口調でホロコーストを非難した。

 この後、ヨルダン、イスラエル、ヨルダン川西岸を訪れた中東歴訪の旅を終えた法王は、同空港からローマ(Rome)に向けて飛び立った。

 ドイツ出身の法王は、エルサレム(Jerusalem)のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念館「ヤド・バシェム(Yad Vashem)」を11日に訪問しているが、ユダヤ人600万人が虐殺された事実に対する謝罪の言葉や、ドイツ、ナチスに言及しなかったうえ、感情がこもっていなかったなどと批判されていた。(c)AFP/Catherine Jouault