【12月24日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)が同性愛は気候変動と同様に人類の生存に対する脅威だと語ったことに対し、同性愛者の人権擁護団体などは23日、強く反発し怒りの声を上げた。

 同性愛者の人生をテーマにした、イタリアのドキュメンタリー映画『パートナー法は突然に(Suddenly Last Winter)』の共同監督グスタフ・ホーファー(Gustav Hofer)氏はAFPに対し、「これはローマ法王による同性愛者に対する攻撃だ」と語った。

 さらに、「法王庁は、同性愛や性転換について、苦悩としてではなく、まるで単なる思いつきであるかのように語っている」と指摘するとともに、ローマ・カトリック教会は「性的指向を、個人のアイデンティティーとはまったく関係のない性的行動としてしかとらえていない」と述べた。

 ローマ法王は22日、バチカンで聖職者向けに行った年末の演説の中で、ジェンダー理論について、男性と女性との区別をあいまいにし、人間の「自己破壊」につながるものだとして非難していた。

 英国国教会(Church of England)の聖職者数人も参加する、英国の同性愛者団体「Lesbian and Gay Christian Movement」も、法王の発言を同性愛者に対する攻撃だとしてとらえている。同団体のトップを務めるシャロン・ファーガソン(Sharon Ferguson)牧師は、この発言を「非常に無責任で、受け入れられるものではない」としている。

 同性愛を認める英国国教会系組織「Inclusive Church」のトップで、ロンドン(London)の教区牧師を務める、ジャイルズ・フレイザー(Giles Fraser)氏は、「法王は同性愛者が地球の脅威になるという懸念を広めているが、まったく笑止千万だ」と語った。

 キリスト教系環境団体「オペレーション・ノア(Operation Noah)」のマーク・ダウド(Mark Dowd)氏は、ローマ法王の発言を「理解できるが、誤解を招くもので間が悪いものだ」と語った。

 自らも同性愛者であるダウド氏は、「知的な人間がやるようにエコロジーを真剣に学べば、それが神秘的な相互依存性が積み重なった複雑なものであることがわかる。人間の性的指向もこれと同じだ。法王ほどの知的な人物であれば分かるはずだ」と指摘した。(c)AFP/Martine Nouaille