【12月8日 AFP】イスラム教の聖地、サウジアラビアのメッカ(Mecca)で7日、国内外からのイスラム教の巡礼者300万人がメッカ近くのアラファト山(Mount Arafat)に集まり、大巡礼「ハッジ(Hajj)」が最高潮を迎えた。

 アラファト山は預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)が1400年以上も前に最後の説教を行った場所で、別名「慈悲の山」。この日は夜明けと共に、白装束姿の信徒たちが続々と徒歩やバスでアラファト山を目指した。

 アラファト山に到着した信徒の1人は、「今日は偉大な喜びの日となった」と、歓喜の涙を流した。

 預言者ムハンマドが巡礼中に祈りを捧げたとされる場所の近くに建てられたナミラ(Namira)モスクでは、イスラム教指導者Abdul Aziz al-Sheikh師が説教を行い、世界の金融危機について「神のおきてを無視し、イスラムで禁じられたリバー(利息)を取る行為を行ってきたことが原因だ」と語った。また「イスラム世界は、一致団結してテロリズムの破壊行為に立ち向かわなければならない」とイスラム教徒の結束を呼びかけた。

 ナミラモスクでの礼拝に巡礼者たちが合流した昼すぎ、信徒たちの熱狂は最高潮に達した。

 巡礼者たちは、日没までアラファト山にとどまり、「最後の審判」に備える行為として真摯に祈りをささげ、神の許しを請う。日没後は数キロ離れたムズダリファ(Muzdalifah)の谷へ降り、翌日の「投石の儀式」のための小石を拾い集める。

 巡礼者たちは8日にミナ(Mina)へ移動し、預言者アブラハム(Abraham)が我が子を神にささげようとした逸話にちなみ、動物(通常は羊)をいけにえとしてささげる。この儀式が、犠牲祭「イード・アル・アドハ(Eid al-Adha)」の始まりを告げる。

 巡礼者はさらに2日間、ミナにとどまり、悪魔を追放する投石の儀式を行う。これは、巡礼の最後を飾る儀式だが、儀式の最中に信徒たちが将棋倒しとなる事故が多発しており、最も危険な儀式でもある。1990年に1426人、2004年に251人、2006年には364人の死者が出ていることから、事故防止対策として、当局は高さの異なる3本の橋を投石用に設置した。

 関係者によると、今年の巡礼ではこれまでのところ大きな事件・事故は報告されていない。メディアは、巡礼者の数を過去最高の300万人と推定している。(c)AFP/Hania Malawani