死海文書で新解釈、キリスト教とユダヤ教の関係を再定義か
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【7月11日 AFP】死海文書が発見されてちょうど60周年を迎えた8日、これを記念してエルサレム(Jerusalem)で開かれたセミナーで、紀元前1世紀のものとされる死海文書には「メシアの復活」についての文言が刻まれていると、ある学者が主張した。これが本当ならば、キリスト教とユダヤ教の関係が再定義されることになるかもしれない。
ヘブライ大学(Hebrew University)のイスラエル・クノール(Israel Knohl)教授(聖書学)によると、死海文書には、87行以上から成る「大天使ガブリエルの啓示」がヘブライ文字で記載されているが、その大半は風化し消えかかっているという。80行目には「3日間」という言葉と「生きる」という動詞の一部が見えることから、「メシアの死から3日後に大天使ガブリエルがつかわされ、メシアをよみがえらせた」と教授は解釈している。メシアとは、ユダヤ教の救世主だ。
キリスト教では、はりつけにされたイエス・キリストが3日後によみがえったとされている。教授の解釈が正しければ、死海文書は、キリストの復活という概念がユダヤ教の伝統的な教義の流れをくむものだという考え方を裏付けるミッシングリンクになる。
だが、死海文書の信ぴょう性も含め、教授の説に懐疑的な専門家は多い。
古代言語の専門家、Ada Yardeni氏は、死海文書の消えかかった文字が「生きる」と読めないことはないとしつつも、クノール教授の説は受け入れられないと言う。
イスラエルのある考古学者は、「そのような文言がインクで記載され、現在まで消えずに残っているとは不思議だ。説が正しいことを裏付けるには、死海文書が発見された状況とその場所が明らかにされていなければならないが、いずれも明らかにはなっていない」と話す。
ただし、テルアビブ大学(Tel Aviv university)のYuval Goren考古学部長は、死海文書の文字には細工の跡が認められないとしている。(c)AFP