【7月3日 AFP】4月に米テキサス(Texas)州当局が施設に対する捜索を行い、虐待されていた疑いのある400人の子どもを保護した一夫多妻主義の教団の女性信者らが、衣料品ブランドを立ち上げた。

テキサス州の教団「末日聖徒イエス・キリスト教会原理派(Fundamentalist Church of Jesus Christ of Latter Day SaintsFLDS)」の女性たちは、当局に保護された子どもらのための衣類を大量に作るよう求められたが、その技術を「ビジネス」に生かし、衣料品のオンライン・ショップを開始した。

 5月の裁判所命令を受け、当局に保護された子どもたちは法律上の保護者のもとに返されたため、宗派ではこの手作りの「独特な」衣類を一般向けに売り出すことにしたところ、大きな反応があった。

 ブランドのラインアップは、長袖に襟元の詰まったドレスやゆとりの多いパンツ、長めのズボン下や控えめなブラウスなど、同宗派の信者たちが着ている「禁欲的」なデザインで、19世紀の開拓者たちの生活を思わせるこの宗派が周囲から隔絶されてきたことを浮き彫りにするものだ。 

「実際の需要については分からないが、問い合わせは山のように受けている」と信者の1人、マギー・ジェソップ(Maggie Jessop)さんは現地紙ソルトレーク・トリビューン(Salt Lake Tribune)に答えた。

 オンライン・ショップ(www.fldsdress.com)上では信者の女性たちが、乳幼児や10代の子どものために「FLDSの価値観に見合う控えめで清潔な」衣類を提案しており「一品一品、気持ちと喜びを込めて作った」とうたっている。 

 販売されている衣服は、幅広のプリーツの入った長袖のドレス「プリンセス」(8色違い)などさまざま。今後はさらに教団の料理レシピや歌などもオンラインで紹介していきたいとしている。
 
 一方、同宗派内では「精神的婚姻」と称し、未成年の少女たちが信者の男性たちと性的関係を結ばされていた疑いがかけられており、逮捕者は出ていないが、宗派の施設に対する捜索は現在も続けられている。

 当局では、少女たちは思春期を迎えるとすぐに、中年世代の「精神的夫」たちとの性交渉を受け入れるよう「教育」されていたとみている。こうした虐待はまた同じように育てられた少年たちによって繰り返されていたという。(c)AFP