【AFP】イスラム社会ではアルコール飲酒が禁止されているが、保守的なイスラム教国であるカタールで、イスラム法学者が「アルコールは、少量であれば摂取してもよい」とのファトワ(宗教見解)を示し、激しい議論を呼んでいる。

 カラダウィ(Yusuf al-Qaradawi)師は、8日の地元紙Al-Arabに、「飲み物に含まれるアルコールが自然発酵であり、しかも含有量が0.5%以下であれば、それを飲んでもイスラム法の教えには反しない」とのファトワを発表した。

 これに対し、10日の地元紙Ash-Sharqは、「このファトワに人々は困惑している」としながらも、「少量のアルコールを含有した飲料を飲みたいという人に門戸を開くもの」と、好意的な社説を掲載。「コーランもスンナ(預言者ムハンマドの言行を基にした慣習法)もアルコールの許容含有量については定義していない。自然発酵は(飲料製造時に)ある程度は避けられず、その正確な量を量ることも困難」としている。

 カラダウィ師は10日、AFPの取材に対し、今回のファトワが充分理解されたとは言えず、物議をかもしていると話した。きっかけは、「市場に出回っている栄養ドリンクを飲むことはイスラム法にかなうか」との質問が多数寄せられたことだという。

 カタール大学(Qatar University)シャリーア(イスラム法)学部元学部長のアブドルハミド・アルアンサリ(Abdul Hamid al-Ansari)氏は、今回のファトワは妥当とした上で、「ファトワの乱発は、イスラム社会の発展を阻害する」との懸念も示した。(c)AFP