【3月30日 AFP】オランダの極右政党・自由党(Party for FreedomPVV)のヘールト・ウィルダース(Geert Wilders)党首がイスラム教を批判する短編映画「フィトナ(Fitna)」をウェブサイト上で公開したことで、オランダ国内のみならず欧州連合(EU)、国連(UN)、イスラム教国などで一斉に反発が広がっている。

 オランダ産業・雇用者連合(VNO-NCW、オランダの経団連)は29日、同国製品の不買運動が起きた場合、ウィルダース党首に対する訴訟を辞さない構えを明らかにした。産業・雇用者連合のBernard Wientjes議長は、「オランダ製品の不買運動は輸出に打撃を与える。石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)、電機大手フィリップス(Philips)、食品・家庭用品大手ユニリーバ(Unilever)などがオランダ企業であることは誰もが知っている」と述べた。

 オランダ政府はこの映画に強い批判を表明してきた。欧州連合(EU)はスロベニアで開かれた外相会議でも、加盟27か国が全会一致でオランダ政府の対応を支持した。

 国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長も、この映画が「不快極まりないほど反イスラム」だとして非難。

■イスラム教国などでも相次ぐ反発

 ヨルダン政府によるオランダ製品の不買運動の呼び掛けに続き、マレーシアのマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)前首相も同様の発言を行った。マレーシアと隣国シンガポールはすでに、フィトナがコーラン(Koran)と過激な破壊活動を故意に結びつけているとして非難声明を発表している。

 エジプトのアハマド・アリ・アブルゲイト(Ahmed Ali Aboul Gheit)外相はフィトナが「10億人以上のイスラム教徒に対する攻撃」にあたると非難。

 アフガニスタン政府は全世界でのフィトナの放映禁止を求めている。

 一方この映画を掲載した英のウェブサイトは28日、職員に対する脅迫があったとして掲載を中止している。(c)AFP/Gerald de Hemptinne