【3月10日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(72)は、中国の支配に抗議するチベット民族蜂起から49周年となる10日、「チベットに対し想像を絶する徹底的な人権侵害を続けている」として中国を批判した。

 チベット亡命政府のあるインド北部ダラムサラ(Dharamshala)で同日行われた記念式典でダライ・ラマは支持者らを前に、「中国による想像を絶する徹底的な人権侵害、信教の自由の否定、宗教問題の政治化は今も続いている」と演説した。

 さらに「チベット民族は、60年近く中国による弾圧の絶えざる恐怖のもとで暮らして来た。これは、中国政府がチベット民族を尊重しないが故のものだ」と中国を非難した。

 最近のダライ・ラマは中国に対して軟化しているとの批判もあったが、この日の演説は厳しい中国批判を含む内容となった。

 一方で、2002年以来6度にわたって開催されながらほとんど成果のない中国とのチベット自治交渉については今後も継続する意向を示し、「遺憾ながら過去数年間、チベットに対する弾圧と残虐行為は拡大する一方だった。それでも、私の「中庸」を貫く姿勢は揺るがない」と述べた。

 ダライ・ラマは1959年3月のチベット動乱の際、インドに亡命した。(c)AFP