【12月25日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は25日未明、バチカン市国(Vatican City)のサンピエトロ大聖堂(Saint Peter's Basilica)で行われたクリスマスミサの説教のなかで、利己主義と環境破壊をいさめた。イタリア語で行われた法王のメッセージは、サンピエトロ広場を埋め尽くした数千人に加え、テレビ中継を通じて世界各地の信者ら数百万人に届けられた。

 大聖堂のバルコニーからローマ法王は「われわれ人類は時間、空間、所有物などを自分の欲望のためだけに渇望する、あまりにも利己的な存在となり、隣人、貧しい人々、そして神のために分け与えることを忘れてしまった」と信者らに呼びかけ、イエス・キリスト(Jesus Christ)が生まれた際、すべての宿屋が満室でマリアとヨセフに部屋を与える宿屋がなかったことを思い起こすよう語りかけた。

 また法王は「人類は豊かになればなるほど、自分を取り巻く空間を自分たちだけで独占するようになる。そうして他者のための空間をより狭めてしまう」と諭し、「私たちの言葉や愛を必要とする隣人のために、私たちは自身の時間をさいているだろうか。安全な避難場所を求めている亡命者や難民たち、そして神のために、私たちは時間や空間を捧げているか」と問いかけた。

 ローマ法王はさらに、4世紀のニュッサの主教、聖グレゴリオ(Gregory of Nyssa)」がクリスマスミサの説教のなかで「罪により引き裂かれ歪められた社会」を嘆いたことに触れ、「貴重なエネルギー資源を欲望のままに搾取し続ける我々の社会の現状を、聖グレゴリオが目にしたらなんというだろうか」と語った。(c)AFP/ Gina Doggett