【9月23日 AFP】ベルギーのカトリック司教たちが、テレビCMに登場するイエス・キリストに激怒している。このCMに登場するキリストは、ヒッピー風のファッションに、ぽっこりお腹。奇跡を起こすだけじゃなく、ナイトクラブでセクシーな女の子をナンパするという内容で、カトリック教会は21日、CMの放送中止を求める抗議を行った。

 ベルギーの主要チャンネルで問題のCMを流しているのは、欧州の大手メディアRTL。このCMは若者向けケーブルテレビ局Plug TVの宣伝で、「奇跡を起こす力を持つイエス・キリストでも見たくなるほど面白い」と宣伝するものだという。問題のCMは、テレビだけでなく映画館でも放送されている。

 Eric de Beukelaer司祭は、「ベルギーのキリスト教会は、宗教に関するユーモアに対して寛容な態度を示してきた。表現の自由を尊重し、漫画家を批判することも避けてきた。しかし広告となると話は違う」と話す。

「われわれはRTLの経営評議会代表と倫理委員会に対して強い不満の意を表明する」とし、さらに「チーズやパテを宣伝するために、牧師や修道女を登場させるのとはまったく別。キリストを歩く広告塔に仕立て上げるのは一線を越えている。キリストがごくつぶしの若者のように描かれるのを見過ごすことはできない」と付け加えた。

 CMは、Plug TVに加入したがるイエスに父なる神が、「これ以上まだ欲しがるのか!」と叱責するところで終了する。Plug TVとRTLは抗議に対し、広告に冒とくの意はなく、「若者向けのおおらかなイエス・キリストの姿」を描いただけだとしている。

 De Beukelaer司祭によると、RTLおよび倫理委員会のどちらからも正式な返答はまだないという。しかし、この件についてカトリック教会は、法的措置をとるつもりはないとしている。(c)AFP