【サンパウロ/ブラジル 10日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は9日、ラテンアメリカ・カリブ司教協議会総会に出席すため、ブラジルを初訪問している。法王は妊娠中絶容認の流れに強く反対する意向を改めて強調した。

 サンパウロの空港に到着したローマ法王は、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領の出迎えを受け、歓迎式典であいさつ。「すべての中南米諸国は、キリスト教の価値を尊重し、擁護している」とし、「命は、人間性の総体として、受胎の瞬間から自然死の瞬間まで尊重されるべきだ」と語り、中南米各国で進む中絶合法化に反対の意志を示した。

 世界の全カトリック教徒11億人の約半数が中南米地域にいるが、過去10年でブラジル国内のカトリック教徒は減少している。世論調査機関ダタフォリャ(Datafolha)がおこなった最近の調査によると、10年前には74%を誇っていたカトリック教徒も、現在では64%に落ち込んでいる。その一方で、プロテスタント信者は急速に増え、特にペンテコステ派などが、10年前の11%から現在では17%に増えた。

 法王は、13日からアパレシーダ(Aparecida)近郊で始まるラテンアメリカ・カリブ司教協議会総会に出席する。

写真は同日、サンパウロに向かう機内で会見するローマ法王。(c)AFP/VINCENZO PINTO