【バチカン 8日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は8日、イースター(Easter、復活祭)恒例の世界に向けた祝福メッセージ(Urbi et Orbi)で、「イラクからは何らの明るい見通しも見いだすことができない」と述べた。

 また、「イラクは絶え間ない大量殺害に引き裂かれ、市民は逃げまどっている」とも語った。法王がイラク情勢について言及することは珍しい。

 イラクの首都バグダッド(Baghdad)周辺では、8日も断続的な襲撃があり、治安当局によると少なくとも20人が死亡、十数人が負傷した。同地では、2月14日に武装勢力の大規模掃討作戦が開始されて以来、警備が強化されたにもかかわらず襲撃事件が相次いでいる。バグダッドでは昨年1年間のみで、数千人が襲撃によって死亡している。

 法王は昨年、クリスマスの祝福メッセージで「イラクの運命を握るすべての人に要請する。多くの流血事件につながった残虐な暴力は終わらせなければならず、同国の住人一人一人は安全に、普通の生活を送れるようにしなくてはならない」と述べていた。

 写真は8日、バチカンのサンピエトロ大聖堂(St Peter’s Basilica)の中央バルコニーで、広場に集まった人々に向けて祝福メッセージを発表するローマ法王。(c)AFP/ ARTURO MARI/OSSERVATORE ROMANO