【9月9日 AFP】たばこ成分を含まない電子たばこは、喫煙者が喫煙習慣を断つ目的では、ニコチンパッチと同程度の効果があるが、どちらの禁煙方法も成功率はそれほど高くないという調査結果をまとめた論文が7日、英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

 今回の調査は、人気が高まりつつある「電子たばこ」とニコチンパッチを、禁煙の補助として比較する世界初の試み。電子たばこは、液体を温めて吸引可能な気体にするプラスチック製チューブだ。

 ニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)のクリス・バレン(Chris Bullen)氏率いる研究チームは、禁煙を望んでいる喫煙者657人を集めて、無作為に3つのグループに分けた。

 290人前後の2つのグループには、それぞれにニコチンパッチとニコチンを含む気体を発生させる電子たばこを13週間分ずつ与えた。残りの73人には、ニコチンを含まない電子たばこを与えた。

 調査対象者には6か月後、質問調査と、喫煙の証拠である一酸化炭素が呼気中に含まれているかの分析を行い、禁煙の成功率を評価した。

■禁煙成功率は同程度、ただし電子たばこの安全性は未知数

 その結果、ニコチンパッチのグループの禁煙成功率は5.8%だったのに対し、ニコチンを含む電子たばこのグループの成功率は7.3%で、ニコチンを含まない電子たばこのグループの成功率は4.1%だった。

 電子たばこの使用者の中には、電子たばこの使用によって健康が損なわれた者はいなかったが、電子たばこの長期にわたる安全性は未知数だと研究者らは強調している。欧州連合(European UnionEU)では、電子たばこの安全面の問題が浮上しており、電子たばこを医薬品として分類する計画が立てられている。

 「電子たばこは、ニコチンを含むか含まないかにかかわらず、喫煙者が禁煙するのを助けるのに多少の効果が見られ、禁煙達成率はニコチンパッチと同程度で、有害事象はほとんどない」と論文は述べている。さらに論文は「たばこ規制での電子たばこの立場に関しては、不確定要素が存在する。電子たばこの全体的な有益性と有害性を明確にするために、さらなる研究が緊急に必要とされている」とも指摘している。(c)AFP