【8月28日 AFP】ルーマニアで「ロマ民族の王」を自称するフロリン・チョアバ(Florin Cioaba)氏が23日、同国シビウ(Sibiu)で埋葬された。同氏はトルコの病院で18日に心臓発作のため死亡した。58歳だった。

 チョアバ氏が「全世界のロマ民族の王」を名乗ったのは1997年。父親の死去直後の「戴冠」となったが、同氏を王と認めたのはロマ民族のうちの少数に過ぎなかった。

 同氏の家族で構成された「王座会議」は、約2000人が参列した葬儀の数時間前にチョアバ氏の長男ドリン氏を「世界のロマ民族の王」、次男のダニエル氏を「ルーマニアのロマ民族の王」とすると宣言した。

 2003年、12歳の自分の娘を15歳のロマの少年と結婚させたことで大論争を引き起こしたチョアバ氏。各方面からの批判を受け、ロマ民族の間で広く行われている児童婚の慣習を変える努力をすると公約した。

 同氏はまたロマ民族の子供に教育を受けさせるよう呼びかけ、教育の欠如による貧困の撲滅を訴えた。2004年にはルーマニア国会の議席を求めて立候補したが当選することはなかった。

 欧州圏でロマ民族が最も多く住むルーマニア。最新の国勢調査によると国内のロマ民族の人口は61万9000人とされているが、非政府組織(NGO)は、これを大きく上回る200万人と試算している。近年、ロマ民族の社会的立ち位置での向上はある程度みられるが、長きにわたって虐げられてきた彼らに対する広範な差別は、雇用および住宅面などで依然根強いものがある。(c)AFP