【7月5日 AFP】アレクサンドラという女の子か、あるいはウェインという名の男の子か──バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)の外にいる誰一人として知り得ないことだが、それでも世界中でその名前に賭けようという人が後を絶たない。

 ブックメーカー各社は、2011年に過去最多の参加者数を記録した、ウィリアム英王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)の結婚式を上回り、夫妻の第1子に関連した賭けに参加する人の数が新たな記録を打ち立てるだろうと見込んでいる。

■賭けの対象はさまざま

 赤ちゃんの性別や出生時の体重、髪の色、さらにはキャサリン妃が「上品すぎて気張れず」帝王切開で出産するのか否か──王室関連の賭けの選択肢はいくつもある。

 英国のブックメーカー、ウィリアムヒル(William Hill)社の広報担当、ジョー・クリリー(Joe Crilly)氏によると、賭けの対象として人気が高いのは赤ちゃんの名前だ。英国内だけでなく、世界中の多くの人たちが賭けているという。

 賭けの対象になっている名前は伝統的なものが多く、女の子の名前で最も多いのは「アレクサンドラ」。次いで「シャーロット」、「エリザベス」、「ダイアナ」、「ビクトリア」。男の子は1位が「ジョージ」で、「ジェームズ」、「ルイス」が後に続く。

「アレクサンドラ」はエリザベス女王(Queen Elizabeth II)のミドルネーム。「シャーロット」はキャサリン妃の妹、ピッパ・ミドルトン(Pippa Middleton)さんのミドルネームであり、 英国王ジョージ3世(King George III)の王妃の名前でもある。ビクトリアと名付けられれば、英国で在位歴代最長の君主をたたえることになるだろう。

 女の子の名前に賭ける人が多いのは、今年春にキャサリン妃が公務での訪問先で、お腹の子は女の子だと口を滑らせかけたとメディアが一斉に報じたためとみられている。

 生まれてくる赤ちゃんの性別への賭けは大抵、男女のいずれかに人気が集中することはなく、半々になるという。だが、今回はほぼ2対1の割合で、女の子に賭ける人が多い。

 一方、最も当てるのが難しそうなのが出産日だ。複数のブックメーカーが予定日とされる13日ではなく、7月第1週のオッズを引き下げている。

 その理由としてアイルランドのオンライン・ブックメーカー、パディー・パワー(Paddy Power)のロリー・スコット(Rory Scott)氏は、1981年にウィリアム王子を身ごもっていた故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)が実際よりも遅い日付けを出産予定日として公表したことを挙げ、キャサリン妃も、その例に倣っている可能性があるという。

 ただ、出産日に賭けている人はそれほど多くないという。前出のクリリー氏は、「実際にいつ妊娠したのか、誰も知らない。みんな推測しているにすぎない」と話している。

 そのほか、赤ちゃんの髪の色では茶色に賭けている人が最も多く、次いでブロンド、黒となっている。「叔父」のヘンリー王子(Prince Henry)のような赤毛は、最も人気が低いという。

 さらに、出産後に退院する際には夫妻のどちらが赤ちゃんを抱いて外に出てくるかも賭けの対象になっている。

■拡大する市場に高まる期待

 夫妻と赤ちゃんに関する賭けでは、大金が動いている。パディー・パワーはこれまでに約1万件の賭けを受け付けており、利益は夫妻の結婚式より3割多い約30万ポンド(約4500万円)を見込んでいる。ウィリアムヒルもこれまでにおよそ5万ポンド(約750万円)の掛け金を受け付けており、利益は夫妻の結婚式を上回ると見込んでいる。

 ブックメーカー1社が5000万ポンド(約75億円)を売り上げる競馬レース、「グランドナショナル(Grand National)」に比べればごく少額だが、賭けの対象としての人気が高まっていることは、ロイヤルファミリーへの関心を反映している。

 ウィリアムヒルに約40年勤めてきた広報担当のグラハム・シャープ(Graham Sharpe)氏によると、同社がロイヤルカップルに対する賭けを受け付けるようになったのは、チャールズ皇太子(Prince Charles)とダイアナ妃の結婚式以来。

「以前は王室を賭けの対象にするなどと言えば、ひんしゅくを買った。だが、ダイアナ妃が登場した途端に、あらゆることが少しずつ緩和された。そこで、(賭けられるか)試してみるべきだと考えた」のだという。(c)AFP/Danny KEMP