【7月3日 AFP】中国東部・江蘇(Jiangsu)省無錫(Wuxi)市北塘(Beitang)区の裁判所は1日、77歳の女性の娘夫婦に対し、少なくとも2か月に1度は母親を訪ねるよう命じる判決を言い渡した。同日に施行された、高齢の親族の元を訪ねることを義務付ける新法に基づいた、初めての判断となった。地元紙・無錫日報(Wuxi Daily)が2日に報じた。

 同市在住の夫婦は、原告である母親の世話をすることに同意していたものの、家族内でもめごとがあった後、息子の家で暮らすようになった母親を一度も訪れていなかったという。

 裁判所は夫婦に対し、2か月に1度の定期訪問に加え、国民の祝日のうち少なくとも2日は母親を訪ねるよう命じ、訪問しなかった場合には賠償金の支払いを命じる可能性もあるとした。

 新法は、家族は60歳以上の親族を「頻繁に」訪問しなくてはならないと義務付けているが、具体的な頻度については明言していない。

 新法については、専門家らから有効性を疑問視する声が上がっている他、国内のネットユーザーからはからかいのコメントが多く投稿されている。中には、この法律を「国に対する侮辱だ」とする者もいる。

 中国国家統計局(National Bureau of Statistics)の最新の統計によると、中国では全人口の約14%に当たる1億9400万人が60歳以上となっている。また国連の推計では、2000年には10%だった同国の人口に占める60歳以上の割合は、2050年までに30%に増加する見通し。同年の世界の平均は20%と見込まれている。(c)AFP