【6月26日 AFP】北米先住民の子を養子として育てた夫婦から親権を取り戻したいとして、生物学上の父親が起こしていた訴訟で、米連邦最高裁は25日、実の父親が北米先住民であることを理由に親権を戻すことを命じた下級審の判決を破棄し、審理を差し戻した。

 マット・カポビアンコ(Matt Capobianco)、メラニー・カポビアンコ(Melanie Capobianco)さん夫妻は、養子縁組を結んだ北米先住民の子どもをベロニカ(Veronica)と名付け、生後まもなくから育ててきた。だが、子どもの誕生前に一度は養子縁組を認めた先住民チェロキー(Cherokee)出身の実父、ダステン・ブラウン(Dusten Brown)さんが考えを翻し、親権を求めて訴訟を起こした。

 ブラウンさんは、北米先住民の子どもが家族から引き離される事態を回避するために設けられた1978年のインディアン児童福祉法(Indian Child Welfare ActICWA)に基づいて娘の親権の回復を求めた。サウスカロライナ(South Carolina)州の裁判所は2011年、生物学上の父親の親権を認める判決を下した。

 だが今回、連邦最高裁判事は5対4でカポビアンコ夫妻を支持。サミュエル・アリト(Samuel Alito)裁判官は、ICWAが生物学上の父親を無条件に擁護するものであってはならないと述べた。「そのようなことが許されれば、ICWAの下でインディアンと認定される可能性のある子どもを養子にしようとしている養父母候補者たちは、間違いなくちゅうちょするだろう」

 ただし、最高裁はカポビアンコ夫妻にベロニカちゃん(3)の親権を付与することもせず、サウスカロライナ州の裁判所に審理を差し戻した。(c)AFP