【6月25日 AFP】日本から太平洋(Pacific Ocean)を横断した勇敢なレース鳩がカナダ西岸沖バンクーバー島(Vancouver Island)で保護され、地元のハト愛好団体に引き取られることになった。カナダの鳥類保護団体「Mountainaire Avian Rescue Society」が24日、明らかにした。

 バンクーバー島のカナダ空軍基地で保護されたハトは雄で、発見時は消耗しやせ細っていた。その後、ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州コモックス(Comox)近くにある保護センターで寄生虫処置などの手当てを受け、健康を回復させた。

「Mountainaire Avian Rescue Society」のレグ・ウエストコット(Reg Westcott)氏はAFPに、このハトは日本を飛び立った後、嵐に巻き込まれるなど何らかの理由で方向を見失ったまま飛び続け、最終的に太平洋の反対側にあるカナダに降り立ったのだろうと話した。太平洋上を飛行している間、このハトは貨物船などに降り立って羽を休めていたのではないかと、ウエストコット氏は考えている。ハトの移動距離は一般的に最大650キロ程度だが、このハトの飛行距離は7000キロにも及んだ。

 脚環に電話番号が記載されていたため日本の飼い主に連絡をとったが、飼い主はハトを日本まで輸送する航空機代の支払いに難色を示したという。

 このため地元の鳩レース協会がハトの引き取りを申し出た。協会ではこのハトを雌と交尾させる考えで、ウエストコット氏も子孫が長距離レースに適したハトとなることは間違いないと話している。傷ついた野生動物を保護してきて17年になるウエストコット氏だが、2~3週間かけて太平洋を横断したハトに遭遇したのは、今回のハトの他には1羽だけだという。(c)AFP