【6月22日 AFP】自称「南部料理の母」として知られる米国で人気の料理研究家、ポーラ・ディーン(Paula Deen)さん(66)が人種差別発言を繰り返したとして、10年にわたって司会を務めてきたテレビ番組を降板させられた。

 米料理専門チャンネル「フードネットワーク(Food Network)」は21日、今月末で終了するディーンさんとの契約を更新しないと発表した。この決定に関する理由の詳細は明らかにされていない。

 ディーンさんはこの日、予定されていた米NBCニュースの朝の情報・ニュース番組「トゥデイ(Today)」 への出演を突然キャンセルし、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された動画2本に登場。「人を傷つける発言をした」、「不適切で、人に苦痛を与える発言は全く許されるものではない」として、家族やファンらに謝罪した。

 ただし「私の誤った行動について、皆さんに謝罪したい。このことから学び、成長したい」と言葉を詰まらせながら述べていた1本目の動画は、後に削除されている。

 ディーンさんは自らが経営するレストラン「アンクル・ババズ・オイスターハウス(Uncle Bubba's Oyster House)」の元総支配人、リサ・ジャクソン(Lisa Jackson)さんから昨年、差別問題で裁判を起こされている。ジャクソンさんは職場で性的、人種的差別を受けたと主張している。ディーンさんはこの裁判の宣誓供述書の中で、人種差別的な発言をしたことを認めており、批判を浴びていた。

 真っ白な髪に青い目、強い南部訛りが特徴のディーンさんは、米国の料理界ではよく知られた存在だ。数々のテレビ番組に出演している他、これまでに十数冊の料理本を出版している。また、ジョージア(Georgia)州サバンナ(Savannah)で「アンクル・ババズ」を含め、2軒のレストランを経営する他、自らのフードブランドも手掛けている。

 一方、ディーンさんの言動は、これまでにも物議を醸すことがあった。ディーンさんはバターや揚げ物好きとして知られているが、昨年には2型糖尿病を患っていることを公表。同じ日に、医薬品大手ノボノルディスク(Novo Nordisk)の糖尿病治療薬「ビクトーザ(Victoza)」を支持する発言をするとともに、宣伝役として同社と高額の契約を結んだことを発表し、ファンたちの激しい怒りを買った。(c)AFP