【5月27日 AFP】韓国当局は27日、米国の大学進学適性試験(Scholastic Aptitude TestSAT)の試験問題を不法に入手し、配布していた疑いがあるとして、国内の複数の予備校の調査を始めた。この問題をめぐっては今月、韓国でのSAT実施が全国規模で取り消されている。

 SATは、米国の大学で入学試験として最も広く採用されている試験。SAT運営側は、韓国の一部予備校で試験問題が配布されていることを知り、5月4日に予定されていた試験を中止した。

 試験問題を流出させたことが発覚した予備校は閉鎖処分され、特別税務監査も入るという。またそれら予備校の所有者は、今後一定期間、新たな予備校の開校を禁じられる。

 米国際教育研究所(Institute of International Education)によると、2011~12年度、韓国は米国の大学に7万2295人の留学生を送った。米大学における留学生の数としては、中国とインドに次いで3番目に多い。

 教育熱心な韓国において、外国の大学に入学するための予備校は、国内大学進学用の予備校と合わせて、うまみのある産業となっている。韓国ではトップ大学への進学が、キャリアだけでなく結婚の条件としても重視される。そのため、韓国の生徒たちは学校生活期間中ずっと夜遅くまで勉強し、高額な塾に通っている者も多い。

「この出来事は、国際的なレベルでさえも、不正行為をすることに良心の呵責(かしゃく)を感じないという、わが国の教育文化の負の側面を明るみに出している」と国民日報(Kookmin)は述べ、このスキャンダルを「国の恥」だと呼んだ。

 韓国では2007年にもSATの試験問題の事前流出が発覚し、受験生900人の点数が取り消される出来事があった。また2010年にはソウル(Seoul)市の予備校の講師が、タイで行われた試験からSATの問題用紙を国内に持ち込み、試験数時間前の受験生らに送ったとして逮捕される事件があった。(c)AFP/Jung Ha-Won