【5月18日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中に英空軍が行った独ダム破壊作戦から70年となった16日、「ダムバスターズ(Dambusters)」と呼ばれるパイロットらによって当時、爆撃演習のために使われた英イングランド中部の貯水池の上空を、作戦で使われた英空軍の四発爆撃機「ランカスター(Lancaster)」が低空飛行するパフォーマンスを行った。

 ランカスター1機の他、第2次大戦当時のスピットファイアー(Spitfire)戦闘機2機、現英空軍のトルネード(Tornado)戦闘機2機も登場したこの記念飛行は、英ダービーシャー(Derbyshire)州にあるダーウェント貯水池(Derwent Reservoir)で行われた。この貯水池では当時、ダム破壊作戦で英国空軍が使用した「反跳爆弾」の実験が行われていた。

 技術者のバーンズ・ウォリス(Barnes Wallis)氏が発明した反跳爆弾は、文字通り水面を跳ねるようにして標的に接近する爆弾で、1943年5月16日深夜から翌17日の未明にかけて実施された、ドイツのルール渓谷(Ruhr Valley)にある3つのダムの破壊作戦に使用された。作戦により2つのダムが破壊され、残る1つも損傷、1600人が溺死したとされ、大きな痛手を被ったナチス・ドイツは、多大な資金を損害の修復に回さなければならなくなった。

 一方、英空軍側は、ダム破壊のために地上からわずか18メートルの低空で飛行する必要があり、作戦に参加した133人のうち56人が命を落とした。この「チャスタイズ(懲罰)作戦(Operation Chastise)」は、1955年に『暁の出撃(The Dam Busters)』の題で映画化されたことで、不滅のものとなった。

 16日の記念飛行を行ったランカスター爆撃機は、70年前に19機が暗闇の中を飛び立ったイングランド東部リンカンシャー(Lincolnshire)州のスカンプトン(Scampton)英空軍基地を出発し、ダーウェント貯水池に向かった。

 記念飛行を見守った地元ダービーシャー住民のロイ・テイラー(Roy Taylor)さん(66)は、「こうしたイベントは、作戦で若い兵士たちが払った犠牲をわれわれに思いおこさせてくれる。彼らは、これまで十分に認知されたことがなかった」と語った。(c)AFP