【5月17日 AFP】英国の子どもの読書に関する調査で、本・雑誌・新聞・コミックなどの紙面よりも、コンピューターやその他の電子機器を使用して読む割合の方が初めて高くなったとする結果が16日、英NPO団体から発表された。

 読み書き能力の向上を促進する英国のNPO、ナショナルリテラシートラスト(National Literacy Trust)によると、8~16歳の英国の子ども約3万5000人を対象とした調査で、全体の約52%の子どもが電子機器で読む方が多いと回答したのに対し、紙面上で読む方が多いと答えた子どもは3分の1(32%)にすぎなかった。

 同NPOでは、こうした傾向は子どもの読解力に「弊害をもたらす」恐れがあるとして、紙媒体と電子機器とで「読書行為の健全なバランス」を保つよう呼び掛けている。

 同NPOによると、ほとんど全員の子どもが、家庭でコンピューターを使用でき、全体の4割が現在、タブレット端末やスマートフォン(多機能携帯電話)を所有している。また、電子書籍を読んでいる子どもの割合は全体の6%から12%へと、この2年間で倍増したという。

 また少女と少年の比較では、少女のほうが紙面上で読む割合がかなり高かった(少女68%、少年54%)。また電子機器の画面上で読む割合も、少女のほうが少年よりも高く、携帯電話で少女67%対少年60%、電子書籍リーダーで84%対69%、タブレット端末で70%対67%などとなっている。

 しかし、平均以上の読解力を持つ子どもの割合については、毎日画面上でしか読まない子どもでは15.5%で、毎日紙面上、または紙面上と画面上の両方で読む子ども(26%)の半分程度にとどまった。

 同NPOの代表を務めるジョナサン・ダグラス(Jonathan Douglas)氏は「若い人たちにもっと読む機会をもたらすことにテクノロジーが及ぼすプラスの影響は歓迎するが、一方で紙面上で読む行為が放棄されないことが極めて重要だ」と話す。

 さらに同氏は「われわれは、画面上でしか読まない子どもが、読むことをあまり楽しんでいなさそうで、読解力もあまり高くないという今回の調査結果に懸念を抱いている。優れた読解力と楽しみのために読むという行為は、学校やその先の子どもの成功に密接に関連している。どのような形式を選択しようと、読むことに貪欲になるように子どもたちを促す必要がある」と述べている。(c)AFP