【4月24日 AFP】単独かつ支援を受けずに北極点と南極点の両方に1年以内に到達するという、世界初の偉業達成に、フランス人冒険家が挑んでいる。すでにその挑戦の半分を終えたファイサル・アネッシュ(Faysal Hanneche)さん(40)は、23日にノルウェーの首都オスロ(Oslo)に帰還した際にAFPの取材に応じた。

 アネッシュさんは今月15日、北極点に単独で到達。マイナス42度まで下がる極寒の中、120キロの装備を乗せたそり2台を一人でひき、数百キロメートルの道のりを進んだ。

「フランス人では初。(帆などの)補助を何も使わずに、全部一人で引きました。自分の力だけで」(アネッシュさん)

 ノルウェーとフランスを頻繁に行き来するアネッシュさんは、北極の氷が常に移動を続けていることに驚いたと話す。ある時は、一晩で目標地点と反対方向に8キロも運ばれ、前日に進んだ距離の半分が帳消しになってしまったという。「チェスのゲームと同じですよ」

 ロシアの基地「バルネオ(Barneo)」から北極点までの道中では、恐ろしい瞬間にも見舞われたという。北極点まであと17キロの地点では、長さ数キロにも及ぶ氷の壁が立ちはだかり、装備の大半をその場に置き去りにするほかなかった。帰還に必要なテントやそりを帰途で回収できるかは、そのときには分からなかったという。

「スキー板と衛星電話、24時間分の食料と旗しか持っていなかった。北極探検の専門家に後でそのことを話したら、自殺同然だと言われた」

■次は南極点、資金調達が課題

 次の目標は、南極点だ。南アフリカのケープタウン(Cape Town)を11月6日に出発し、凍てつく3500キロの道のりを80日かけて進む予定。「また違った困難に直面するでしょう。でも今は、自分が極限状態に対処できることが分かっています」

 だが北極点への旅で貯金の大半を使ってしまったため、南極点への挑戦には6万ユーロ(約780万円)の追加資金を調達しなければいけない。(c)AFP