【4月23日 AFP】オランダで「愚かだ」との非難が殺到し、作曲者が楽曲の「お蔵入り」を宣言する事態となった新国王即位式のために用意された賛歌について、オランダ当局は22日、楽曲の評判は「おおむね好評」と主張して、採用に変更がないことを発表した。

 オランダでは30日、ウィレム・アレクサンダー皇太子(Crown Prince Willem-Alexander)の国王即位式が執り行われる。この日に合わせて、ロッテルダム(Rotterdam)では、アーティストが集合して一緒に演奏するイベントが開催される予定だ。

 だが、イベントで演奏される曲として、総勢51人のアーティストがラップや合唱をする楽曲「国王の歌(Koningslied)」が19日に発表されると、数時間もたたないうちにオランダ市民数万人が抗議の声を上げた。この曲を「愚かな」曲だと表現したオンライン請願には3万8000人以上の署名が集まり、作曲者のジョン・ユーバンク(John Ewbank)氏は20日夜、楽曲を取り下げることを発表した。

 楽曲の次のような歌詞が非難の的となった。「私は素手で堤防を作り、水の流入を防ぐ」「3本の指を空に。さあ、さあ。それがウィレムのW。覚醒したこと、そして(野菜とソーセージで作るオランダ伝統料理の)スタンプポットを食べることを意味するWだ」

■「大半が肯定的な評価」「批判的な騒音も多い」と委員会

 だが、新国王即位式の組織委員会は22日、楽曲への支持を表明。「公共放送局とジョン・ユーバンク氏と意見交換をした後、『国王の歌』の使用継続を決定した。この楽曲に協力したアーティストたちも、この楽曲で進めたいと希望した」と述べた。

 委員会は、楽曲発表以降「多数の反応」があり、「その大半が肯定的な評価だった」と説明。一方、「歌詞の一部について社会から批判的な騒音も多くあったことも明白だ」と認めた上で、「コンサートは計画通りに行われる」と述べた。(c)AFP