【4月23日 AFP】(写真追加)米マイクロソフト(Microsoft)創設者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が片手をポケットに突っ込んだまま韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領と握手したことが、一部韓国メディアで23日、批判の対象となった。

 21日に撮影されたゲイツ氏が朴大統領と握手をする写真は、22日の国内全ての全国紙で一面を飾った。一部新聞ではポケットに入ったままの手の部分を切り取っていたが、大方はこのジェスチャーを強調して報じた。

 中央日報(JoongAng Ilbo)は見出しに「文化の違いか、あるいは無礼な行為か?」と掲載した。

 東亜日報(Dong-A Ilbo)も「無礼な握手か?カジュアルな握手か?」と問いかけた。

 韓国では、上下関係に非常に厳しい儒教文化が浸透しており、マナーが重視され、また国の威厳を軽視するような行為には特に敏感に反応する。

 大統領府(青瓦台、Blue House)はこの出来事についてコメントを避けているが、SNSには多くの意見が寄せられていた。

「文化的な違いを考慮に入れたとしても、特定の場所(機会)ではそれにふさわしいマナーがある。国家の指導者と会うときに、ポケットに手を突っ込むなんてどうしてできるんだ?」と米マイクロブログのツイッター(Twitter)のユーザー、@msryu67はつぶやいた。

 この件をめぐり一部ニュースサイトは、ゲイツ氏が世界の指導者と握手した際の写真を複数掲載、比較した。

 2008年に当時の大統領、李明博(Lee Myung-Bak)氏と面会した際も、ゲイツ氏は片手をポケットに入れていた。一方、2001年に当時の大統領、金大中(Kim Dae-Jung)氏と面会した際には、より敬意を表し、両手で握手をしていた。

 東亜日報はソウル(Seoul)在住のゲイツ氏の友人に取材を行った。「ゲイツはカジュアルな男で、慣習にとらわれない。だから国際機関の代表や政界のトップと会うときにも、このやり方で握手している」と友人は語っている。

 一方で一部の韓国人は、メディアの批判が見当外れだと指摘している。

「お願いです。みなさん。あなたの儒教精神が世界の他の場所でも通用する普遍的な規範だと思わないでください」と、ツイッターユーザーの@itanomalyはつぶやいた。

 ゲイツ氏は原子力ベンチャー、テラパワー(TerraPower)の会長として、次世代原子炉開発プロジェクトのプロモーションのため、韓国を訪れていた。

 一方、朴大統領は、従来の製造業を基盤とした韓国経済を超えて、「クリエイティブな経済」を作り上げるための助言を訪韓したゲイツ氏に求めた。(c)AFP