【4月22日 AFP】インターネット経由で不特定多数の人から資金を募る「クラウドファンディング」による資金調達サイト「キックスターター(KickStarter)」上で新設されたベンチャー企業が、現代のテクノロジーと昔ながらの郵便を一体化して一人暮らしの高齢者と家族をつなぐ新サービスを開始する。

 新興企業「ライブリー(Lively)」が16日発表した新サービスは、センサーとオンライン・サービスを利用し、高齢者の生活を干渉することなく管理するもの。同社のデービッド・グリックマン(David Glickman)最高執行責任者(COO)は「テクノロジー的な面もあるが、わが社のサービスの基本は、一人で暮らす高齢者と家族のつながりを強めることだ」と説明している。

 このサービスではまず、高齢者が自宅で日常的に使う薬箱や冷蔵庫、電子レンジの扉、食器棚などに取り付けるセンサーを配る。これらのセンサーが発するシグナルをコンセント差し込み式の受信機「ライブリーハブ」が拾い、無線信号として携帯電話の中継塔を経由して、サンフランシスコ(San Francisco)にある同社サーバーに送信する。また高齢者が持ち歩くキーホルダーに付ける別のセンサーでは、自宅からの出入りを検知する。

 家族らはインターネット上の「ダッシュボード」で、高齢者の外出状況や食事管理などを確認することができる。またダッシュボードへのアクセスを誰に認めるかは、見守られる側の高齢者が決められる。

 一方、家族や友人は「見守る」以外にも、ライブリーのスマートフォン用アプリを使って写真をアップロードしたり、メッセージをやり取りできる。さらに共有された写真やメッセージはプリントされ、「ライブリーグラムズ」と呼ばれる小冊子にまとめられて高齢者に郵送される。

 ライブリーの取締役で米スタンフォード長寿研究センター(Stanford Center on Longevity)のローラ・カーステンセン(Laura Carstensen)所長は「高齢者は一人暮らしによって健康が増進し、自尊心や生活上の満足感が高まり、うまく歳を重ねていけることが、研究によって示されている」と語る。

 システム一式の価格は149ドル(約1万4800円)、サービス利用料は月額19.95ドル(約1966円)となる見通しだ。同社によると、キックスターターで受け付けた米国内からの注文については7月までに、欧州とカナダ、オーストラリアからの注文分は12月までに出荷されるという。その他の地域向けについては今年後半に発表される予定だ。(c)AFP