【4月4日 AFP】国民の大多数がヒンズー教徒のネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)で、神聖視されているウシたちが、むしろ交通事故や渋滞の原因となっているとして、警察が路上のウシの「取り締まり」対策に乗り出した。

 カトマンズの路上をうろつくウシたちは、ごく日常的な光景だ。道路脇のゴミの山から食べ物をあさるウシたちも、よく見かける。

 カトマンズ首都交通警察のパワン・ギリ(Pawan Giri)広報担当は、AFPの取材に「迷いウシたちが、カトマンズの道路で大いに迷惑な存在になっている。事故の原因となるだけでなく、道を汚したりもする。運転手がウシをよけようとして、他の車に衝突する事故も頻繁で、そのせいで交通渋滞が起きている」と語った。取り締まりで警察が保護した迷いウシを引き取るには、飼い主は約60ドル(約5600円)の罰金を支払わなければならないという。

 交通警察当局によれば、1日に取り締まりを開始して以来、これまでに18匹のウシが身柄を「確保」された。今後も数週間、迷いウシの取り締まりを続ける方針だという。

 ヒンズー教でウシは豊穣の女神ラクシュミの化身とされる。このため、ヒンズー教人口が大多数のネパールでウシは神聖視される存在だ。連邦共和制への移行で2008年に王政は廃止され、ネパールはヒンズー教王国ではなくなった。だが地方などでは今もなお、ウシを殺したとして人々が当局に拘束される事例が常態化している。

 ネパールでは現在もウシの殺処分は違法で、有罪になれば最高で禁錮12年の刑が言い渡される。(c)AFP