ドイツ初、同性愛者男性のラグビーチーム
このニュースをシェア
【4月2日 AFP】惨敗する可能性もあったデビュー戦。ドイツで唯一の同性愛者男性のラグビーチーム、ベルリン・ブルーザーズ(Berlin Bruisers)は軽やかに、そして誇りをもって初の公式戦のピッチを後にした。
凍てつくような寒さの下、歴史的なテンペルホーフ空港(Tempelhof Airport)の跡地にあるラグビー用公式競技場は雪に覆われていた。ダブリン(Dublin)を本拠地として10年前にできたアイルランド初の同性愛者男性チーム「エメラルド・ウォリアーズ(Emerald Warriors)」が最後の15分間、波状攻撃でトライを挙げ、ホームのブルーザーズは45対22と敗北したが、悪天候は地元チームに有利に働くはずだった。
「ウォリアーズは雪の中でプレーしたことがないが、僕たちのここ4回のトレーニング・セッションは猛吹雪だった。だから慣れていたはずだった」と、ブルーザーズのイングランド生まれのフォワード、アダム・ワイド(Adam Wide)氏は語る。2012年4月のブルーザーズ創立の一端を担った人物だ。
ブルーザーズは試合前の戦術も慎重に練った。「僕たちは親切なホストチームだから前日の夜、彼らにベルリン中を案内したんだ。酔いつぶれてもらおうとして。ウォリアーズの1人は朝帰りだったのに、それでも、何とかプレーしてたね」とワイド氏は笑う。
国を挙げて熱狂的なサッカーファンであるドイツで、ラグビーは急速に人気を集めているスポーツの一つだ。昨年時点のプレー人口は1万3000人、うち2000人が女性だ。しかし首都ベルリンでは、移民たちの居住区を出てしまうとラグビーは比較的知られていない。
世界で初めての同性愛者男性のラグビーチームは95年に創設された英ロンドン(London)のキングス・クロス・スティーラーズ(Kings Cross Steelers)だ。北米、オーストラリア、欧州の各地に同性愛者男性のラグビーチームは散在している。
■ベルリンの同性愛者コミュニティーに旋風
ベルリン・ブルーザーズの現役選手は35人。週3回のトレーニングを行っている。ベルリンの同性愛者コミュニティーからすでに絶大なサポートを得ており、クラブ会員は500人いる。
ブルーザーズは3分間に237本のパスを成功させるという世界記録も持っている。初めて出したヌードカレンダーは売り切れた。これらは全てクラブとして登録した初年の出来事だ。
ワイド氏は言う。「全てはパブから生まれたんだ。何人かで話していて『どうしてゲイのラグビーチームはないんだ?』ってことになって。それで何かしようと決めたんだ」。チームには15の異なる国籍を持つ選手がいる。年齢層も幅広い。トレーニング中は英語が共通語だ。
まずまずだった初公式戦の次の目標は、いつでもトレーニングできるグラウンドを見つけ、英ブリストル(Bristol)で2年に1度開催される欧州の同性愛者チームのトーナメント「ユニオンカップ(Union Cup)」に今年5月、出場することだ。そして、クラブの究極の目標は、非同性愛者のチームに混ざってリーグ戦に参戦することだ。
同性愛者のチームの中で、監督の米国人マイケル・フェルツ(Michael Felts)氏(24)は同性愛者ではない。米大学ラグビーでプレーしていたフェルツ氏は「周りに同性愛者のチームの監督をしていると言うと、みんなびっくりした顔をする。でもそれで聞くのはポジティブなコメントばかりだ。全体的にストレートの選手よりも、ゲイの選手のほうがアグレッシブさが控えめだね」と話す。
昨年10月、フェルツ氏がベルリンに降り立ち初めてトレーニングを視察した時には、チームのレベルは文字通り最低レベルだった。「何人かはラグビーをやったこともなかったけれど、そのせいで悪い癖がついていないのは良かった」。ブルーザーズはあらゆる天候の中、トレーニングしてきた。「零下8、9度で練習することもある。とにかく僕はいるから、ってみんなに言ったんだ。死ぬほど寒いのに、大勢来たんだ」
ブルーザーズがトレーニングを行っているのは、東西ドイツ統一の象徴となったブランデンブルク門(Brandenburg Gate)の近く、ベルリン中心部の大ティアガルテン(Tiergarten)の一角。ナチス・ドイツに迫害され、虐殺された同性愛者たちの追悼碑がすぐそこに建っている。フェルツ氏は「とてもベルリン的だと思う。ドイツ人は第2次世界大戦中の彼らの過去から隠れたり逃げたりせず、償おうとしている。それが今、動き出そうとしているんだ」と語った。(c)AFP/Ryland James
凍てつくような寒さの下、歴史的なテンペルホーフ空港(Tempelhof Airport)の跡地にあるラグビー用公式競技場は雪に覆われていた。ダブリン(Dublin)を本拠地として10年前にできたアイルランド初の同性愛者男性チーム「エメラルド・ウォリアーズ(Emerald Warriors)」が最後の15分間、波状攻撃でトライを挙げ、ホームのブルーザーズは45対22と敗北したが、悪天候は地元チームに有利に働くはずだった。
「ウォリアーズは雪の中でプレーしたことがないが、僕たちのここ4回のトレーニング・セッションは猛吹雪だった。だから慣れていたはずだった」と、ブルーザーズのイングランド生まれのフォワード、アダム・ワイド(Adam Wide)氏は語る。2012年4月のブルーザーズ創立の一端を担った人物だ。
ブルーザーズは試合前の戦術も慎重に練った。「僕たちは親切なホストチームだから前日の夜、彼らにベルリン中を案内したんだ。酔いつぶれてもらおうとして。ウォリアーズの1人は朝帰りだったのに、それでも、何とかプレーしてたね」とワイド氏は笑う。
国を挙げて熱狂的なサッカーファンであるドイツで、ラグビーは急速に人気を集めているスポーツの一つだ。昨年時点のプレー人口は1万3000人、うち2000人が女性だ。しかし首都ベルリンでは、移民たちの居住区を出てしまうとラグビーは比較的知られていない。
世界で初めての同性愛者男性のラグビーチームは95年に創設された英ロンドン(London)のキングス・クロス・スティーラーズ(Kings Cross Steelers)だ。北米、オーストラリア、欧州の各地に同性愛者男性のラグビーチームは散在している。
■ベルリンの同性愛者コミュニティーに旋風
ベルリン・ブルーザーズの現役選手は35人。週3回のトレーニングを行っている。ベルリンの同性愛者コミュニティーからすでに絶大なサポートを得ており、クラブ会員は500人いる。
ブルーザーズは3分間に237本のパスを成功させるという世界記録も持っている。初めて出したヌードカレンダーは売り切れた。これらは全てクラブとして登録した初年の出来事だ。
ワイド氏は言う。「全てはパブから生まれたんだ。何人かで話していて『どうしてゲイのラグビーチームはないんだ?』ってことになって。それで何かしようと決めたんだ」。チームには15の異なる国籍を持つ選手がいる。年齢層も幅広い。トレーニング中は英語が共通語だ。
まずまずだった初公式戦の次の目標は、いつでもトレーニングできるグラウンドを見つけ、英ブリストル(Bristol)で2年に1度開催される欧州の同性愛者チームのトーナメント「ユニオンカップ(Union Cup)」に今年5月、出場することだ。そして、クラブの究極の目標は、非同性愛者のチームに混ざってリーグ戦に参戦することだ。
同性愛者のチームの中で、監督の米国人マイケル・フェルツ(Michael Felts)氏(24)は同性愛者ではない。米大学ラグビーでプレーしていたフェルツ氏は「周りに同性愛者のチームの監督をしていると言うと、みんなびっくりした顔をする。でもそれで聞くのはポジティブなコメントばかりだ。全体的にストレートの選手よりも、ゲイの選手のほうがアグレッシブさが控えめだね」と話す。
昨年10月、フェルツ氏がベルリンに降り立ち初めてトレーニングを視察した時には、チームのレベルは文字通り最低レベルだった。「何人かはラグビーをやったこともなかったけれど、そのせいで悪い癖がついていないのは良かった」。ブルーザーズはあらゆる天候の中、トレーニングしてきた。「零下8、9度で練習することもある。とにかく僕はいるから、ってみんなに言ったんだ。死ぬほど寒いのに、大勢来たんだ」
ブルーザーズがトレーニングを行っているのは、東西ドイツ統一の象徴となったブランデンブルク門(Brandenburg Gate)の近く、ベルリン中心部の大ティアガルテン(Tiergarten)の一角。ナチス・ドイツに迫害され、虐殺された同性愛者たちの追悼碑がすぐそこに建っている。フェルツ氏は「とてもベルリン的だと思う。ドイツ人は第2次世界大戦中の彼らの過去から隠れたり逃げたりせず、償おうとしている。それが今、動き出そうとしているんだ」と語った。(c)AFP/Ryland James