一流シェフが贈るグルメシアター、米ブルックリン映画館の最新企画
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【3月25日 AFP】映画館と言えばポップコーンが古くからの定番だが、「ヒップスター」の聖地、米ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)のウィリアムズバーグ(Williamsburg)に、目の前で上映されている映画にちなむ料理を一流シェフが提供してくれる「グルメシアター」が登場した。
今週、フランス映画『アメリ(Amelie)』が上映されている「ナイトホーク・シネマ(Nitehawk Cinema)」の館内では、ナチョスのチーズソースのかすかな匂いさえ冒とくに近いだろう。映画とともに観客が満喫しているのは「マッシュルームと黒トリュフ風味のクロックマダム」から始まる伝統的フランス料理のコース5種類だ。
飲み物も米国の観客が大好きな巨大サイズの炭酸飲料をぐびぐび飲むのではなく、前菜にはプロセッコ(伊産の白発泡ワイン)、そしてアブサンのカクテルへと突入する。
続いて豚のリエット、ムール貝、フォワグラと鴨肉のクレープ、この間もアブサンは来続け、さらに主人公のプラムケーキにちなんだエンゼルフードケーキにも、プラムジャムとペルノ・アブサンのクリームが添えられている。とどめのドリンクはジンとプラムのリキュール、ダムソンだ。
「まったく違う。感覚が研ぎ澄まされるのよ」と言いながら、33歳のバーテンダー兼メークアップアーティスト、エイミー・ウィルキンソンさんは館内の60席のうちの1席に身を沈める。各席には小さなテーブルが付いている。映画の上映中、黒装束の給仕担当が映画の進行に合わせ、音もたてずにせっせと次の皿や飲み物を配膳してくれる。
禁酒法時代に定められた映画館での酒類禁止条例をニューヨーク州が改めたのは、ようやく2011年になってのことだ。以降、グルメシアターの先駆けとなってきたのが「ナイトホーク」だ。今年に入ってからは著名シェフが映画とメニューをセレクトするハイクラスのナイトショーを企画している。
米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UC Santa Barbara)のロス・メルニック助教(メディア学)によれば、食と映画鑑賞を組み合わせる発想は米国の他の地域でもすでに盛んで、時代遅れになりつつある映画産業の活性化に一役買っている。「今は大画面テレビやiPhone(アイフォーン)、モバイルPCと他に見るものがたくさんあって、人は昔のように映画に行かなくなってしまった。しかしここへ来て、映画館に行くことをイベント化しようという企業が増えてきた」
「ナイトホーク」のイベントディレクター、ジュリア・シュバイツァー(Julia Schweizer)氏は、1人95ドル(約9000円)~のグルメナイトの狙いについて、映画そのものを復活させるというよりも、映画の周辺で遊ぶ試みだと説明する。先月の第1回企画をプロデュースした有名シェフは1980年代風コースを用意し、映画はどちらかと言えば食欲をそそらなさそうな、セックスと殺人に溺れるウォール街の証券マンが主人公の『アメリカン・サイコ(American Psycho)をピックアップした。
『アメリ』の企画をプロデュースしたのは新進気鋭の女性シェフ、サラ・グエン(Sara Nguyen)さん。『アメリ』自体、温かい気持ちになる映画だが、アルコール度の高いドリンクと美食の効果で気分はまったく別次元にまで高まり、エンドロールが流れ出すと観客は拍手喝采で沸いた。
このロマンチックな夜の鑑賞会にガールフレンドと来ていた法学生クリスチャン・リンさん(25)は「多くの人が、目に見えるものだけを映画だと思っているけれど、ここではシェフが観客の感覚を引き出してくれるんです」と語った。(c)AFP/Sebastian Smith
今週、フランス映画『アメリ(Amelie)』が上映されている「ナイトホーク・シネマ(Nitehawk Cinema)」の館内では、ナチョスのチーズソースのかすかな匂いさえ冒とくに近いだろう。映画とともに観客が満喫しているのは「マッシュルームと黒トリュフ風味のクロックマダム」から始まる伝統的フランス料理のコース5種類だ。
飲み物も米国の観客が大好きな巨大サイズの炭酸飲料をぐびぐび飲むのではなく、前菜にはプロセッコ(伊産の白発泡ワイン)、そしてアブサンのカクテルへと突入する。
続いて豚のリエット、ムール貝、フォワグラと鴨肉のクレープ、この間もアブサンは来続け、さらに主人公のプラムケーキにちなんだエンゼルフードケーキにも、プラムジャムとペルノ・アブサンのクリームが添えられている。とどめのドリンクはジンとプラムのリキュール、ダムソンだ。
「まったく違う。感覚が研ぎ澄まされるのよ」と言いながら、33歳のバーテンダー兼メークアップアーティスト、エイミー・ウィルキンソンさんは館内の60席のうちの1席に身を沈める。各席には小さなテーブルが付いている。映画の上映中、黒装束の給仕担当が映画の進行に合わせ、音もたてずにせっせと次の皿や飲み物を配膳してくれる。
禁酒法時代に定められた映画館での酒類禁止条例をニューヨーク州が改めたのは、ようやく2011年になってのことだ。以降、グルメシアターの先駆けとなってきたのが「ナイトホーク」だ。今年に入ってからは著名シェフが映画とメニューをセレクトするハイクラスのナイトショーを企画している。
米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UC Santa Barbara)のロス・メルニック助教(メディア学)によれば、食と映画鑑賞を組み合わせる発想は米国の他の地域でもすでに盛んで、時代遅れになりつつある映画産業の活性化に一役買っている。「今は大画面テレビやiPhone(アイフォーン)、モバイルPCと他に見るものがたくさんあって、人は昔のように映画に行かなくなってしまった。しかしここへ来て、映画館に行くことをイベント化しようという企業が増えてきた」
「ナイトホーク」のイベントディレクター、ジュリア・シュバイツァー(Julia Schweizer)氏は、1人95ドル(約9000円)~のグルメナイトの狙いについて、映画そのものを復活させるというよりも、映画の周辺で遊ぶ試みだと説明する。先月の第1回企画をプロデュースした有名シェフは1980年代風コースを用意し、映画はどちらかと言えば食欲をそそらなさそうな、セックスと殺人に溺れるウォール街の証券マンが主人公の『アメリカン・サイコ(American Psycho)をピックアップした。
『アメリ』の企画をプロデュースしたのは新進気鋭の女性シェフ、サラ・グエン(Sara Nguyen)さん。『アメリ』自体、温かい気持ちになる映画だが、アルコール度の高いドリンクと美食の効果で気分はまったく別次元にまで高まり、エンドロールが流れ出すと観客は拍手喝采で沸いた。
このロマンチックな夜の鑑賞会にガールフレンドと来ていた法学生クリスチャン・リンさん(25)は「多くの人が、目に見えるものだけを映画だと思っているけれど、ここではシェフが観客の感覚を引き出してくれるんです」と語った。(c)AFP/Sebastian Smith