【2月18日 AFP】都市部の経済的に貧しく男性より女性が多い地域では、男性をめぐる女性間の競争が激しくなるため女性の出産年齢が早まる──。こんな論文が13日、英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された。

 英ポーツマス大学(University of Portsmouth)の研究チームは英国の都市部にある2500以上の地域について出生率、人口に占める男女の割合、社会経済的背景などを比較した。各地域の人口は8000人程度だった。
 
 その結果、男性より女性が多い貧困地域の女性は若いうちから子どもを産んでいた一方、同様に男性より女性が多いが経済的に裕福で、学業や仕事に取り組む女性が多い地域では、30代で出産する女性が最も多かった。論文の共著者アビー・チップマン(Abby Chipman)氏によれば、貧困地域での出生率のピークは15~24歳、最も裕福な地域では34~39歳だった。

 チップマン氏は「男性より女性の方が多い場合、女性は男性を得る可能性が下がると考える傾向があることが過去の研究で示されていた。今回の研究で、貧しい女性は自分たちの『生殖キャリア』を早くスタートさせようと急ぐ傾向があり、裕福な女性は子どもを持つことを遅らせる傾向があることが分かった」と語り、裕福な地域の女性は若いうちに出産する代わりに学業や仕事に集中して、将来子どものためになるリソースや教育を手にしようとするのではないかと推測していると述べた。

 今回の研究で、25~29歳の女性では、男女比で女性の方が10%多くなるごとに、その地域で生まれる子どもの数は少なくとも7人ずつ増えていたことが分かった。

 昔から低年齢での妊娠は貧困と関連づけられてきた。この傾向は、狭い範囲の地域では男女の人口比の違いによって一層はっきりする可能性があることが示されたと、今回の論文の著者らは述べている。

 過去の研究では、女性より男性が多い場合には女性は相手を「厳選」するようになり貧しい男性が結婚しにくくなることが示されていた。男児が好まれるインドや中国などの国では、男女産み分けの結果、近い将来において若い女性が不足すると懸念されている。(c)AFP