【2月7日 AFP】定年退職の時期が近づき、念願のバイク購入が待ち遠しくてたまらない?――7日の英専門誌「インジャリー・プリベンション(Injury Prevention)」に掲載された調査結果は、引退後はオートバイに熱中できると考えていた人々に再考を促す内容かもしれない。

 この調査は、2001~08年に米国内で発生したオートバイ事故のうち、20歳以上の負傷者が救急搬送された約145万件について詳細を分析したもの。事故に関わった人たちを年齢層別にみると、20~39歳が63%、40~59歳が32%、60歳以上が約5%だった。さらに、これらの人たちの85%は男性だった。

 調査対象となった期間中、衝突・大破を伴う事故はすべての年齢層で増えていたが、増加率が最も高かったのは60歳以上で、247%を記録した。一方、負傷者の増加が目立ったのは40~59歳で、61%の増加だった。

 事故に遭った場合に重傷を負う割合も、年配のバイク運転者は他の年齢層に比べて高くなっている。事故後に病院に緊急搬送され、入院が必要になった人の割合は、40~59歳では約25%、20~39歳では約15%だったのに対し、60歳以上では30%を超えた。

 さらに60歳以上の人が頭部や首を負傷する確率は、20~39歳に比べて2倍以上で、上胸部の負傷は3倍近かった。また内臓を損傷する確率も高かった。

「年齢が高いほど重傷になるのは、身体的な加齢に伴う生理学的変化のためだと考えられる」と報告は述べている。骨強度の低下、体脂肪分布の変化、胸壁の弾性の低下などだ。また基礎疾患を抱える確率も高くなることから、回復の遅れが目立つようになるという。

 この調査が行われた2001~08年には、米国のベビーブーマー世代にあたる中年から定年後の年齢層でバイクの所有率が高まった。報告書が引用した公式データによると、米国のバイク所有者のうち、1990年には10%だった50歳以上の人の割合は、2003年には25%に増えた。

 65歳以上のバイク運転者の間で、致命的でない負傷は2001年から2007年にかけて86%増加。致命傷は、2000年から2006年にかけて145%増加した。(c)AFP