【2月7日 AFP】エッフェル塔(Eiffel Tower)の横に堂々と立つミケランジェロ(Michelangelo)のダビデ像、それらを取り囲む万里の長城(Great Wall)や兵馬俑(Terracotta Army)――中国・上海(Shanghai)の会場で開催されている「チョコレート・ハッピーランド(Chocolate Happy Land)」には、これらが勢揃いしている。

 どれほどの苦心の末に完成した展示物であるかだけでなく、世界中のチョコレートメーカーが潜在的に巨大な中国市場への進出をどれほど願っているかが、明白に表れている展示会だ。

 増加する中国の富裕層は、コーヒーからハリウッド映画、スマートフォンまで、世界のトレンドを取り入れることに熱心だ。そしてすでに、ビールや車など、さまざまな製品で世界最大の市場になっている。しかし、一般的な中国人にとってのチョコレートといえば、年間消費量はわずか100グラム。スニッカーズ(Snickers)のチョコレートバー2本分にすぎない。

■各社とも市場拡大に虎視眈々

 市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)が昨年11月に公表した報告書によると、各国のチョコレートの消費量は中国に比べ、日本が11倍、米国が44倍、ドイツが82倍となっている。チョコレートに関する著作もあるローレンス・アレン(Lawrence Allen)氏によれば、中国市場にチョコレートが紹介されたのは約30年前。当時、その味を知っている人はほとんどいなかった。「市場は今でも未成熟だ」という。

 ただし、アレン氏をはじめその他の市場関係者らは、中国の今後について楽観的だ。認知度が高まるにつれて、人々の間に根付いていくと考えている。スイスを拠点とするチョコレートメーカー、バリーカレボー(Barry Callebaut)の広報担当者は、中国市場がそれまでなじみのなかったコーヒーを、どのように受け入れたかを引き合いに出した。

 中国でのコーヒー人気は飛躍的に高まったが、これはコーヒーの味そのもの以上に、米コーヒーチェーン大手、スターバックス(Starbucks)の「名声」によるところが大きいという。スターバックスにとって中国は来年にも、世界で2番目の市場になる見込みだ。

 多くのチョコレートメーカーがその経営戦略の一環として、高級品や贈り物を好む中国人に狙いを定め、中国でチョコレートを、ちょっとしたぜいたくや、しゃれたプレゼント、センスや国際的嗅覚の証しなるものとして再構築しようとしている。

 ベルギーの高級チョコレート、ゴディバ(Godiva)は、旧正月向けに期間限定で発売した豪華なギフトセットについて、プレゼントを交換する中国人の習慣をうまく取り入れたと話す。2月10日から始まる最長の大型連休に向けて、売れ筋の18個入りギフトボックスを1箱488元(約7350円)で発売。お茶のフレーバーのガナッシュや、今年の干支にちなんだ蛇をデザインしたチョコレートを入れた。

■展示会も互いを敵対視

「チョコレート・ハッピーランド」に展示されているのは、「食べられる」巨大な「モナリザ(Mona Lisa)」やマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)の写真、「ピサの斜塔(Leaning Tower of Pisa)」、「サモトラケのニケ(Winged Victory of Samothrace)」など、世界的に有名な優れた芸術品や遺産などだ。

 一方、この展示会と同時期に開幕した「チョコレート・ワンダーランド(Chocolate Wonderland)」展では、チョコレートで作られたドレスを紹介するランウェイ・ショーが行われたほか、カップル向けに、チョコレートで作った「love」の文字と巨大なハートの前で写真撮影できるスペースが用意された。

 いずれの展示会も、旧正月とバレンタインに合わせた時期に実施されており、互いに「似ている」として、法廷闘争に発展している。

 ワンダーランドは来場者に、チョコレートはさまざまな意味でギフトに最適だと訴えている。配布されたパンフレットには、「チョコレートには花と同じように、伝えたいメッセージによってふさわしいものがある」と書かれている。
 
 ダークチョコレートには、「あなたの独立精神をたたえ、あなたの信頼に足るパートナーになりたいと願っている」、ミントチョコレートには、「あなたは私の理想の恋人」という意味があるという。(c)AFP/Carol Huang