【2月2日 AFP】延々と続くかのように思える軍のパレードが目の前で繰り広げられる中、英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は常に真剣な表情で王座に座るという職務をこなしている。しかし実のところ、女王はイベントが大失敗するときを楽しんでいる──。王室関連の一大イベントを指揮するサー・マイケル・パーカー(Sir Michael Parker、71)が2日、デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙で明かした。

 パーカー氏は、女王の母親のエリザベス王妃の80、90、100歳の誕生日記念行事など、過去46年間の王室の重大イベントの数々をプロデュースしてきた責任者だ。同氏によると、女王は予定されていた壮大かつ完璧なショーが大惨事に陥ったときにもっとも楽しそうな様子を見せるのだという。

 例えば、1977年にウィンザー・グレートパーク(Windsor Great Park)で行われた即位25周年記念イベントだ。パーカー氏が初めて担当したこのイベントで、女王は点火式を行う予定だった。

 パーカー氏は点火に時間がかかりすぎてしまうのではないかと不安に思いながら、点火台に火薬をめいっぱい詰め込んだ。

 実際の点火装置のスイッチを押す役目をまかされていた兵士は、本番でこれを早く押しすぎてしまい、女王が点火した導火線の火がまだ60ヤード(約54メートル)先にあるときに点火台に火がついてしまった。女王は、「なぜ私に(着火を)頼んだのかわからないわ!」と笑ったという。

 さらに、会場に設置された音響装置もうまくいかず、点火台からあがった炎はかわいらしいものではなく、あたりには迫撃砲のような轟音が響き渡った。

「今までの人生でした最良の決断は、正直に言うということだった」と回想するパーカー氏はこの時、「女王陛下。残念ながら、何もかもが最悪の方向に向かっているようです」と報告した。すると女王は表情をぱっと明るくし、「まあ。楽しいわね!」と言ったという。

 パーカー氏は、「いつもいつも退屈なものを見続けなければならないことは、本当にお気の毒だと思っています。少しでもお目が覚めて笑顔になるようなことがあれば、それはそれで良いことなのでしょう」と語る。

「ミスが深刻でない限り、女王陛下はいつもヘマを楽しんでいらっしゃいます。ほとんどの人は失敗に気付きませんが、女王陛下は絶対に見逃しません」

「私にはモットーがありまして、それは『何が起きるかを事前に公表しない』ということです。そうしておけば予定が狂っても気付かれませんからね」

 現在71歳のパーカー氏は、68歳のときにこんなコメントも残している。「私がこの職務には年をとりすぎだとお思いの方もいらっしゃると思いますが、私は心の中では8歳なんです。物をドカンと爆発させるのが大好きなんですよ」

(c)AFP