【1月9日 AFP】スイス北東部グラールス(Glarus)州で1357年に起きた殺人事件の代償として、地元住民らが教会に支払いを続けてきた聖体ランプの燃料費について、同州の裁判所は2012年12月、住民に今後の支払い義務はないとの判断を下していた。スイス公共放送局RTSが8日、伝えた。

 この裁判で教会側と争っていた地元農民は、聖体ランプの燃料代として毎年およそ70スイスフラン(約6600円)をネーフェルス(Naefels)教区のカトリック教会に支払い続けていた。

 RTSによると、この取り決めは1357年にコンラート・ミューラー(Konrad Mueller)という男が起こした殺人事件がきっかけで始まった。被害者の魂を救済し遺族による復讐を防ぐためにミューラーは地元の教会に聖体ランプを贈り、その燃料費を「永遠に」支払い続けると約束。支払いが滞った場合には、所有する土地を教会に受け渡すと誓っていたという。

 以後数百年にわたり、この土地の所有者らは教会への支払いを続けてきた。だがこの取り決めを正式なものとして地元自治体に登録しようとしたネーフェルス教区での動きに対して、地主の1人が反対を表明。教会側はこの地主を相手取り訴訟を起こしたが、14世紀に実践されていた「法的な慣習」について、裁判所は18世紀半ばの貸借制度の改正により無効となっているとの判断を下した。(c)AFP