【1月5日 Relaxnews】仏パリ(Paris)で最も長い歴史を持つベーカリーが今週、家賃高騰を理由に閉店し、あらがえない時の流れにパリっ子たちはため息をついている。

 パリのオペラ座近くにある「ブランジェリー・パティスリー・デュ・グラン・リシュリュー(Boulangerie Patisserie du Grand Richelieu)」は、パリ市内のベーカリーでは最も古く、202年前から営業を続けてきた。

 だがここ43年間、店を守ってきた現オーナーのクロード・エスノー(Claude Esnault)さんによれば、店の賃貸料は年1万8000ユーロ(約207万円)から同3万5000ユーロ(約403万円)と、ほぼ倍に跳ね上がったという。この店は毎日200本のバゲットをパリ市民に提供してきたが、今週に最後のバゲットを焼き、約200年続いた店の歴史に幕を下ろした。

 国営テレビ、フランス3(France3)は、歴史あるベーカリーの閉店を「スキャンダル」と呼んで嘆く常連客の声を伝えている。常連客たちは、パリの全てのベーカリーがグラン・リシュリューと同じ伝統的な職人技製法でパンを作ることが理想の世界だと語った。

 観光客にも人気の高いリシュリュー通り(rue de Richelieu)にあるこの店の閉店で、街の高級化に一層の拍車がかかりそうだ。

 劇場コメディー・フランセーズ(Comedie-Francaise)などがあるこの一角は、数十年前には肉屋や家族経営のパン屋などが軒を連ねていたが、現在では日本食レストランや高級ショップなどが立ち並ぶ地区へと変貌している。グラン・リシュリューが店をたたんだ後には、フランス菓子のマカロンを販売する店が入居する予定だ。

 グラン・リシュリュー閉店のニュース動画(フランス語)は、「http://bit.ly/Wg24i9」で視聴できる。(c)Relaxnews/AFPBB News