【11月27日 AFP】30代の英国人男性が26日、昨年独立したばかりの世界で最も新しい国、南スーダンを訪れ、世界で初めて航空機を使わずに「主権国家」を主張する世界のすべての国と地域への訪問を達成した。

 英リバプール(Liverpool)出身のグレアム・ヒューズ(Graham Hughes)さん(33)は、約4年間かけて193の国連(UN)全加盟国の他、コソボ共和国、パレスチナ自治区、台湾、バチカン市国、西サハラを含む201の国・地域への訪問を制覇した。

 カウボーイハットをかぶった旅行家ヒューズさんは26日、ウガンダから国境を越えて南スーダンに入り、熱帯の暑さの中ぬるくなったスパークリングワインで祝杯をあげた。「今日まで1426日間、つまり203週間、ほぼ4年間にわたって旅をしてきたよ。2009年1月1日にウルグアイから旅をスタートしてからほとんど止まらずに、飛行機を使わずに世界の全ての国を訪れた最初の人間になることを目指してきた。そしてたった今、それを達成したところさ」
 
 ヒューズさんの旅には4つのルールがある。飛行機を使わないこと、自分が運転する乗り物は使わないこと、陸上交通機関は定期運行されているものだけを使うこと、「陸地」に足をつけて初めてその国を訪問したとみなすことだ。

■「みんなとても親切だった」

「一番心に残っているのは、人間性に対する僕の信念を再確認できたということ、旅をしながら会った人たちがみんなとても親切だったということだね」とヒューズさんは語る。

 アフガニスタンやイラク、ソマリアなど戦闘で荒廃している国を訪れることを多くの人が心配してくれたが、そうした国々は出入国管理が緩く、むしろ「行きやすい国」だったという。それよりも物資を運ぶ船がおそらく月に1隻しか訪れないような、「選手2人と国旗だけでオリンピックに出場するような世界から孤立した小さな島国」のほうがたどり着くのに苦労した。

 アフリカ大陸の西の大西洋上に浮かぶカボベルデ共和国を目指しながら「水漏れする木製ボートで4日かけて外洋を横切った」ことや、コンゴで1週間刑務所に入れられたこと、ロシアに密入国を試みて逮捕されたことなどもあった。また北朝鮮には「ほんのつま先だけ」入国したと報告している。

 2009年には133か国を訪問し、定期運航の陸上交通機関だけで最も多くの国を訪れた年間記録としてギネス世界記録(Guinness World Record)に認定された。

 ヒューズさんのウェブサイトには各国を訪問した際の写真と、さまざまな国の査証でいっぱいになった4冊のパスポートの写真が掲載されている。(c)AFP/Hannah McNeish