出国を「電子追跡」、女性の自由制限するサウジ政府
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【11月25日 AFP】男性保護者の了解を得ずに旅行する権利や、自動車を運転することが女性に認められていないサウジアラビアで、女性の渡航が電子システムによって、これまで以上に厳しく監視されることになった。
同国では先週から、女性が出国する際、男性保護者に携帯メールで通知する電子システムの運用が開始された。男性保護者が同行している場合でも、メールが送られるという。
昨年来、運転禁止に抵抗するサウジ女性の運動で象徴的な存在となったマナル・アルシャリフ(Manal al-Sherif)さんは、今回の当局の措置についてある夫婦から知らされ、マイクロブログのツイッター(Twitter)で情報提供を始めた。
アルシャリフさんによると、旅行に出かけたこの夫婦は出国後に入国管理局からメールを受け取った。夫の携帯電話に、妻がリヤドの国際空港から出国したとの通知があったという。
この件についてコラムニストのバドリヤ・ビシュル(Badriya al-Bishr)氏は「当局は女性の監視に技術を利用している。この超保守的な王国で女性は奴隷状態に置かれている」と批判する。
サウジアラビアでは従来から、女性が男性保護者の許可を得ずに出国することが認められていない。空港または国境で保護者に「イエローシート」と呼ばれる同意書に署名をしてもらわなければならない。
一方、サウジ国民にとって数少ない自由な意見交換の場となっているツイッター上で、今回の当局の措置はすでに多くの批判にさらされており、嘲笑の声も上がっている。
「いっそのこと、女性たちにマイクロチップを埋め込めば、いつでも追跡できるんじゃない?」と冗談を書き込む人もいれば、ある男性は「妻が出国したという通知メールが必要なのだとすれば、私は間違った女性と結婚しているか、自分が精神科医を必要としているかのどちらかだ」とツイートした。
シャリア(イスラム)法の厳格な解釈を適用しているサウジアラビアは世界で唯一、女性の運転を認めていない国だ。アルシャリフさんは女性たちに対し、運転禁止に抵抗するよう呼び掛けている。
こうした動きの一方で、慎重な改革者と評されるアブドラ・ビン・アブドルアジズ国王(King Abdullah bin Abdul Aziz)は昨年、同国史上初めて女性に参政権と被選挙権を付与し、2015年に行われる地方議会選挙への立候補を認めた。(c)AFP/Assaad Abboud