【11月8日 AFP】スカートが風でまくれあがる映画の1シーンはマリリン・モンロー（Marilyn Monroe）の人気を押し上げた。だが、同じことがエリザベス英女王（Queen Elizabeth II、86）に起こったら一大事だ。英国君主のスカートが絶対にまくれることのないよう、女王が着る衣服には重しが縫い付けてあることを、女王のファッション担当者が自著のなかで明らかにした。

「女王は様々な公務に出かけられます。多くは屋外で行われるもので、行事の最中に突風が吹いて困惑するような事態が起きないとは限りません」と、エリザベス女王の専属ファッションアドバイザー、アンジェラ・ケリー（Angela Kelly）氏は5日に発売された著作『Dressing the Queen: The Jubilee Wardrobe（英女王の衣服を手がけて：即位60年の衣装だんす）』の中で語る。「そんな可能性を回避するために、私たちは女王のドレスの裾にこっそり、重しを縫い付けることがあるんです」

　一分の隙もないエリザベス女王のファッションを手がけてきたケリー氏は、2007年に英ファッション誌「ヴォーグ（Vogue）」で「世界で最も魅力的な女性」のひとりに選ばれている。

■英女王ファッションの裏話が満載

　華やかな表紙のハードカバー本『Dressing the Queen: The Jubilee Wardrobe』は、数多くの写真やデザイン画とともに、女王の完璧なファッションがつくりあげられていく世界へと読者をいざなう。

　2012年6月に行われた女王の即位60年を祝う「ダイヤモンド・ジュビリー（Diamond Jubilee）」記念行事の衣装は、準備に2年もの歳月がかかった。そのうちテムズ川（River Thames）で行われた水上パレードの衣装は、王室御座船の深紅色に映えるように女王が着るドレスは純白にした。エリザベス1世（Queen Elizabeth I、1533～1603年）のファッションに着想を得たものだという。

　また、2012年ロンドン五輪の開幕式用に、クリスタルとレースがあしらわれた桃色のまったく同じドレスを2着作ったエピソードも披露されている。なぜ同じドレスが2着必要なのか、ケリー氏らドレス担当者たちには知らされなかったが、1着は開幕式で最大の見せ場となった『007』シリーズの「ジェームズ・ボンド（James Bond）」とともにエリザベス女王が飛行機から飛び降りるという演出で、女王の代役を務めたスタント俳優が着るドレスだったという。

　同書は、女王が外交にもファッションを利用していると説明。2011年5月の歴史的なアイルランド訪問ではアイルランドを象徴する緑色の衣服を着たことや、2010年カナダ訪問でカナダの先住民族ミクマク（Mi'kmaq）の女性たちが作ったビーズをあしらったドレスを着用した例などが書かれている。(c)AFP