【9月25日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の右腕だった宣伝相のヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)が、ナチスのプロパガンダの指揮をとるようになる以前に執筆した詩やラブレター、戯曲、小説などのコレクションが今週、ニューヨーク(New York)近辺で競売にかけられる。

 やがてナチスの中枢に加わることになるゲッベルスのこれまで知られていなかった側面を明るみに出すコレクションの保管状態は完全で、落札予想価格は20万~30万ドル(約1600万~2300万円)。

 米コネティカット(Connecticut)州スタンフォード(Stamford)の「アレクサンダー・ヒストリカル・オークションズ(Alexander Historical Auctions)」によると、コレクションは「内気でロマンチックで影響されやすいマルクス主義的傾向のある大学生」が、「急進的ナチス党員で過激な反ユダヤ主義者、プロパガンダの達人と化し、それから10年も経たずに欧州の大半を支配し破壊した男の右腕」となるまでの足どりを追うものになっている。

 コレクションは数千ページ分に上り、学校の成績表からエッセーや私信、ラブレター、詩、そして腐敗した世界で虐げられる労働者たちを取り上げた反資本主義ドラマなどが含まれる。ラブレターは324ページ分あった。執筆量の多さや、自分の作品が出版されないことに対する顕著な不満から、ゲッベルスが自己表現の場を切望していた様子がうかがえる。

 ゲッベルスはラブレターの中でさえ、第1次世界大戦(World War I)敗戦によってドイツが受けた屈辱に考えを支配されている。当時、ドイツ国民の多くが同じ感情を抱いていたとされ、後の歴史家はそうした世相がヒトラーの台頭を後押ししたと述べている。(c)AFP