ヘンリー王子はやっぱりプレイボーイ?水泡に帰したイメージ改善作戦
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【8月27日 AFP】プレイボーイのイメージを払拭し、前線に従軍する現代的な王室の在り方を印象付けようとしてきた英国のヘンリー王子(Prince Harry、27)のここ数年の努力は、全裸写真が全世界に配信されたことで台無しになってしまった。
米ラスベガスで数日の息抜きを楽しんでいたヘンリー王子は、服を脱いでビリヤードに興じているところをカメラ付き携帯電話で撮影され、その写真は直ちに米芸能ニュースサイト「TMZ.com」に掲載された。英各紙は当初は英王室の要請を尊重し掲載を見合わせていたが、同国最大の発行部数を誇る大衆紙「サン(Sun)」が24日、身元不明の裸の女性たちと一緒にいる全裸の王子の写真を4ページにわたって掲載した。
英王室は、王子はストレスを発散していただけだと説明して事態の沈静化を図っているが、王子の成人らしからぬ分別のなさや、身辺警備体制を疑問視する声は日々、高まっている。報道によれば、問題の写真の中で王子とホテルのプールで遊んでいたうち少なくとも1人は、王子の警護担当者だという。
■スキャンダルに彩られた生い立ち
ヘンリー王子はチャールズ英皇太子(Prince Charles)と故ダイアナ妃(Princess Diana)の間に生まれた次男で王位継承順位3位だが、順調に王位への道を歩む兄ウィリアム(William)王子と対照的に、言動の1つ1つにけちをつけられ、衆目にさらされながら育ってきた。その半生はスキャンダルに彩られている。
17歳のときに大麻使用を認めた。時を置かずしてロンドン(London)市内の高級ナイトクラブを渡り歩くようになり、酒やたばこ、貴族階級の美女たちとの交際、そしてパパラッチとの小競り合いが日常茶飯事になった。
王子のやんちゃな行動を、多くの人々は面白がりつつ愛情を持って見守っていたが、2005年には仮装パーティーでナチス・ドイツ(Nazi)の制服を模した衣装を着用するスキャンダルを起こす。この一件では陸軍入隊が一時危ぶまれたものの、王子はアフガニスタンの前線に派遣され、08年に報道協定が破られるまで10週間任務に就いた。派遣発覚後、王子は直ちに前線任務から外れた。
翌09年には王子が士官候補生時代にパキスタン人に対する差別的呼称を使っている映像が暴露され、またもや経歴に傷を残す騒ぎとなった。
■やっと定着しかけた「大人」のイメージ
しかしそれ以来、王子は軍の任務と慈善活動に熱心に励み、評判は徐々に改善されてきていた。今年は、即位60周年を迎えた祖母エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の名代としてカリブ海諸国を歴訪。ジャマイカでは「世界最速の男」の異名を誇る男子陸上のウサイン・ボルト(Usain Bolt)選手と競争して勝たせてもらうなど、落ち着きの中にも茶目っ気を忘れない振る舞いに、高い称賛が寄せられていた。
英王室担当記者で著書「Harry's War: The True Story of the Soldier Prince(ハリーの戦い:軍人王子の真実)」を出版したロバート・ジョブソン(Robert Jobson)氏はヘンリー王子に対し、兄ウィリアム王子を見習って大人になるべきだと、23日の英夕刊紙イブニング・スタンダード(Evening Standard)の記事で苦言を呈している。
ジョブソン氏は、「王子が若くて自由な独身男性であることは承知している。だが、彼は責任ある王子だ」と指摘。「彼は十分頭脳明晰なのだから、過去に犯した失敗から学ぶべきだった。せっかく悪いイメージからの脱却に成功していただけに、余計に残念だ。ロンドン五輪の閉会式に出席したりジャマイカを訪問したり、立派に女王の代理を務めていたのに」と嘆いた。
「今こそ、もっと賢くなってウィリアム王子を手本にするべき時だ」と同氏は王子に助言している。
■英国市民は「裸の王子」を支持
ちなみに、26日の英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)に発表された世論調査会社YouGovによる世論調査(23、24日実施)では、回答者の68%がヘンリー王子の「全裸パーティー」について「許容範囲内」だと答えている。また、ヘンリー王子に好印象を持っていると答えた人は75%に上った。
一方、大衆紙サンの写真掲載については61%が「掲載すべきでなかった」と回答し、「掲載したのは正しい判断だった」と答えた25%を大きく上回った。(c)AFP