【8月17日 AFP】香港の活動家らが沖縄県・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)の魚釣島(Uotsurijima)に上陸した事件で緊張が高まった16日、香港で始まった国際食品見本市「フード・エキスポ2012(Hong Kong Food Expo 2012)」で郡司彰(Akira Gunji)農水相は、香港の人々の日本食に対する高い関心が緊張緩和に役立つだろうと語った。

 郡司農水相は日本の225社・団体が出展するエキスポで、香港の人々の日本食に対する評価は高く、食文化交流は日本と香港の関係の礎となっていると挨拶。今日まで香港市民が日本に特別な親近感を持ってきたことは明らかだと述べた。

 一方で同日、魚釣島に上陸した香港の活動家ら14人が沖縄県警に逮捕されたことで、エキスポ開催地である香港では日本領事館の前で活動家らの釈放を求める抗議行動も起きた。

 フード・エキスポの来場者は日本食の試食に沸いていたが、AFPがインタビューした多くの人々からは、日本は尖閣諸島の領有権主張を撤回すべきだという答えが返ってきた。日本料理店を開店する意向の62歳の男性は、「釣魚島(中国名)については私たちは間違いなく中国領だと言わざるを得ない」と述べた。

 こうした反日感情の一方で、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)は社説で、国粋主義の煽り過ぎについて警告し「島に上陸した活動家たちは外交的、軍事的対立の危険を冒している。領有権を主張するために国粋主義に頼る、あるいはそれを奨励する各政府は過ちを犯している。海を穏やかにする(事態を収拾する)方法は唯一、対話のみだ」と述べた。(c) AFP